コロナウイルス感染拡大以降、テレワークを導入する企業が急速に増えました。なかでもIT業界は、テレワークで働ける職種が多く、フルリモートとなったシステムエンジニアやプログラマーも珍しくありません。
今までとは全く違う環境で組織マネジメントを行うことになった管理職のみなさんは、さまざまな工夫を凝らして業務効率化や生産性向上を実現しているようです。とりわけ難しいのが、社員のエンゲージメントの高め方です。
会社と社員がめざす方向を、いかにすり合わせていくか。業務に関する報・連・相だけのコミュニケーションでは、ひとりで働く時間が急増した社員のキャリア観の変化に対応することはできません。
「コロナ時代のエンゲージメント」と題したこの企画では、ソルクシーズの管理職51人に、エンゲージメント強化のために実施していることを聞いてみました。前編でレポートしたのは、組織運営における変化と工夫について。後編の今回は、コミュニケーションをとる際に心がけていることを紹介します。
最初に取り上げるのは、多くのマネージャーが大事にしていることです。業務に直結しない会話ができる雰囲気づくり。日常的に、自発的に話す機会があるという状況を作ることによって、コミュニケーションに幅と深さをもたらそうとしています。
「チャットがコミュニケーションのメインなので、文章にメリハリを付けて記号を用いて表現するなど、冷たい印象を与えないようにしています。部下のモチベーションや体調が気になった時は必ず通話しますね」
「自由に話せる空気にすること。メンバーの抵抗感・強制感を払拭すべく、ZOOMの常時接続時は、主要な会議以外は画面オフ。LINEWORKSについても自分にメンションされたメッセ―ジ以外は通知オフです」
定期的なオンライン飲み会や、進めているプロジェクト以外の話ができるチーム会を実施しているマネージャーもいます。
自らと若い社員の上下関係だけでなく、先輩・後輩や同僚など多様なコミュニケーションラインを作ることによって、仕事やキャリアの悩み・課題に対して的確なヒントを得られるようにするのが狙いです。
多角的なコミュニケーションを促すだけでなく、より積極的にキャリアやエンゲージメントをテーマとする場を設定している組織も存在します。考える機会を作ることによって、自発的なアウトプットを増やすという試みです。
「1on1を実施しています。働くなかで抱いている疑問や不安を取り除いたり、チームで話しづらい個人の問題を共有・解決したりすることが多いですね。価値観や興味があることなど、お互いについてより深く知ることで、連携の強化や働きやすい環境づくりができればと思います。技術や趣味について雑談することもあります」
「新人やプロジェクト初心者など、教育が必要なメンバーはローテーションで出社してもらうなどの工夫をしています」
「テレワークによって移動に伴う時間のロスがなくなったので、新たに部内ワーキンググループを発足し、キャリアアップをテーマにしたディスカッションの場を設けました。これによって、縦横のつながりを意識してもらえればと考えています」
いかがでしょうか。テレワーク導入直後は、一時的な措置と考えていたマネージャーも多かったはずで、当面のテーマは「いかに業務管理し、成果を上げていくか」でした。
しかし、テレワークが当たり前になってきた今は、個々のキャリアアップやエンゲージメントについても組織として考える必要があると思われます。
今回紹介したさまざまな視点と取り組みが、組織の活性化や社員の成長を促すヒントになれば幸いです。