ソルクシーズグループのエクスモーションが「CoBrain(コブレイン)」をリリースしたのは、2023年10月。翌月には、パシフィコ横浜で開催された「EdgeTech+ 2023」に出展されました。
「事業変革を推進するための最新技術とつながる総合展」と銘打った展示会は、優秀な新サービスやソリューションを表彰する「EdgeTech+ AWARD 2023」を開催しており、「CoBrain」は「AI/生成AI優秀賞」を受賞しました。
講評を読むと、「生成AIが注目を集めてから、さほど時間が経っていない2023年10月にサービスをリリースしたことにも注目した」とあります。ChatGPTのプロトタイプが公開されたのは2022年11月。年明けから話題となった技術をベースに、1年足らずで実用化したスピードも受賞理由となっています。
さて、ここからは「CoBrain」でできることを紹介します。サービスの概要を簡単に説明すると、「組込みソフトウェア開発における要求仕様書の作成やレビューをサポート」。自動車業界、家電業界、医療機器や業務用機器などで使われている組込みソフトウェアは、適切に開発を進められる人材の不足が慢性的な課題になっています。
グローバル企業においても、組込みソフトウェア開発の要求仕様書を正しく仕上げられる技術者が足りず、作成時の疑問を解決したり誤りをチェックしたりするには、熟練者や専門知識を有する人材に頼らなくてはなりません。
「CoBrain」には、要求仕様を作成する際の疑問に対応するQ&Aボットと、出来上がった要求仕様書を添削するAIレビューがあり、実務に関する相談やチェックをエクスモーション独自の生成AIに依頼することができます。「CoBrain」を開発したエクスモーションの内田さんは、ソフトウェア開発人材を育成したい企業のニーズに応えられるサービスにしたかったといいます。
「企業の現場の課題を軽減できるものにしたくて、自動車や建機の各メーカー、Sierなどのご担当者にプロトタイプを見ていただき、ご意見を集約しました。当初は作成代行サービスというアイデアもあったのですが、新規開発よりも派生開発での応用を期待される声が多かったため、特に派生開発の要求仕様書を作成する際の【課題を解決】するサービスのほうが喜んでいただけると判断しました」
生成AIを活用したサービスを創ろうという話が立ち上がったのは、まさにChatGPTに関する記事が増えていた2023年3月だったとのこと。エクスモーションには、帰社日に社員同士が業務外の技術情報の共有や意見交換を行う場があり、内田さんが所属している「Tech」というプロジェクトで「何か作ってみよう」と盛り上がったのがきっかけでした。
それから、わずか半年でサービスをリリース。エクスモーションが、これだけのスピードで新たなサービスを開発できたのはなぜでしょうか。内田さんが最初に挙げたのは、エクスモーションのカルチャーです。
「今回、『CoBrain』を早期にリリースできた最大の理由は、エクスモーションのコンサルティングスタイルと同様に、プロジェクトの責任者にすべてまかせてくれるカルチャーがあることですね。サービスの企画・仕様から技術者のアサイン、開発手法とスケジュールまでの総合的な提案を受け入れてもらえたので、スムーズにリリースまでたどりつけました」
【後編】では、「CoBrain」が世に出るまでのプロセスを紹介します。興味がある方は、ぜひあわせてご一読ください。