ソルクシーズ公認ブログ|ITエンジニアの仕事とキャリア紹介

ソルクシーズで働く人々

KOJIRO担当日記【1】企画が通らない!

ソルクシーズで働く人々

眉をひそめた部長の手元には、

丸々一週間かけて作成した企画書があった。

「今回は、子どもを持つ親がターゲットということで、これに至ったんです!」

 

私はなんとか声を絞り出した。

 

顔はどんどん熱くなる。

鼻の下の汗を何度も拭う。

口調は辛うじて冷静を装えただろうか。

息が苦しい。。。

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受験シーズンが終わる3月、
それまで家庭教師と事務職の掛け持ちをしていた私は
学生向けeラーニングの企画職に転身した。

(これからは持論だけではダメだ)

心機一転、まっさらな気持ちで新天地に挑むことを決意し、
初出社の前日、私は自宅リビングの壁に3枚の紙を貼った。
その3枚にはそれぞれこう書かれている。

「聞く」「聴く」「訊く」

これだけではない。
論理的に自分の行動を変えるような内容(NLP※脚注参照)の本もすでに数冊読破している。

そんな新しい環境への意気込みをやすやすと上回るほど
新しい上司の言葉は常に的確で、
意固地な私が反論する隙もなく、黙って聞き入るしかなかった。

「システムで一番悲惨なのは、せっかく作っても使われないことなんだ」
入社したばかりの頃、部長は静かな口調で教えてくれた。
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「部長のようにとことん論理的で、
客観的でいられたらなぁと思います」

ため息混じりに私がこぼすと、
いつも穏やかに話す先輩が大きくうなずいた。

「部長って、常に論理的で本当にすごいと思うよ。
俺さ、前に自分ができていないことを人のせいにしたことがあってさ。
その時は相当怒られたなぁ。ま、当然なんだけどね」

失敗談をネタにする先輩。
しかし、私から見れば先輩もまたほとんどいつも論理的なのだった。

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他部署からeラーニングの新企画の依頼を受けたのは、
先週の水曜日のことだった。

入社からしばらく経ち、仕事にも慣れてきたように感じる。
新企画は開発と営業以外すべて自分の仕事だ。
意気揚々と企画書の作成に取り掛かった。

書き上げた企画書を手に、部長にチェックをお願いした。
企画書に目を通した部長は、

「う~ん…」

表情を曇らせているのがわかり、
納得のいかない部分を尋ねた。

「親の視点かな」

そう答え、部長はそのまま出張に出かけて行った。

自席に戻った私は、企画書に“親の視点”を加えようとパソコンとにらみ合いを続けた。
ある程度まとまってきたが、親の視点がイマイチわからない。
そこで、子を持つ先輩に意見を求めることにした。

「子どもをお持ちの方の視点に合わせたいので、
これに関連するようなエピソードやお気持ちを聞かせていただけますか?」

私が一通り企画の説明を終えると、
先輩はゆっくりと話し始めた。

「うーん、そうだな。例えば、俺と娘が…」

………。
しばらくすると先輩が私の目を覗き込んでいるのに気付いた。
伝わっているのか、気にかけている様子。

その瞬間、ハッとした。
メモを取ろうとペンを握ったものの、心が「聴く」モードになっていない。
そんな私は、先輩からはボーっとしているようにみえたようだ。

(聴かなければ!)
肩の力がストンと抜け、その拍子に忘れていた呼吸を取り戻した。

気を取り直した後、先輩は面白い話をたくさんしてくれた。
気が付けば30分以上も過ぎていた。

週が明け、提出期限の1日前に企画書の修正が済んだ。
実例も取り入れてボリュームもいくぶんか増えている。
先輩に見せると「面白いね」というコメント、
依頼元からもGOサインを貰い、一安心。
あとは部長のOKを貰うだけだ。

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翌日、出張から戻った部長に企画書を渡すと、予想外の反応があった。

「う~ん…」

私は、みるみるうちに体温が上がっていくのを感じた。

「今回は、子どもを持つ親がターゲットということで、これに至ったんです!」
なんとか声を絞り出す。
(言われた通りにやったじゃないか!)

赤い顔を資料で隠すようにしながら、言い訳のような説明を続けた。
短い質問と、長い説明が何度か繰り返される。

「じゃぁ、どうすればいいんですか!」という言葉をグッと飲み込んだ。
そうだ、学んだNLP(※脚注参照)を今こそ実践するチャンス。同じ失敗は、もうしたくない。
私は少し大きめに息を吸って、吐いた。

(部長はいつも私のためになる情報をくれるじゃないか。だから、聴こう)

「…確かに、私もそこには不安を感じていました。
しかし、今回はどうしても必要なものと思われ…。
正直、どうすればいいのか大変難しく感じています」

企画書から私に視線を移した部長は穏やかな口調で話し出す。
「そもそも、親が期待しているのは…」

その日、帰宅した私はリビングの壁から3枚の紙を外した。

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企画書はキレイな白紙に戻った。
土台を間違えていたことがわかり、イチから練り直すことにしたのだ。

(今度こそ、使われるための企画を)

「きく」ことができるようになった自信が、やる気となり私を奮い立たせた。kiku

ricoの奮闘はつづく…。

 

 

 

 

※【NLP】神経言語プログラミング:Neuro-Linguistic Programming

日々なんとなくしている「○○すると□□になる」という人の脳の働きをプログラムとしてとらえる。

プログラムを変えられれば、日々が変わる。 人(自分も)がしていることや、感情が起こるしくみを理解するために活用できる。

参考文献「心が思い通りになる技術: NLP:神経言語プログラミング」原田幸治 (春秋社)

[KOJIRO 公式サイト]
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