今年も出ました!「来年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」。IT関連のリサーチ&アドバイザリ企業「ガートナー」が、11月16日にバーチャルで開催された「Gartner IT Symposium/Xpo 2021」にて、2022年以降に注目すべきITトレンドを発表しています。
今回発表された12の戦略的テクノロジは「成長の加速」「変化の形成」「信頼の構築」という3つのテーマにもとづくものだそうです。さっそく、注目のトレンドについてレポートしましょう。
最初のテーマは、「成長の加速」をもたらすITトレンド。ガートナーが注目する技術は「ジェネレーブAI」「オートノミック・システム」「トータル・エクスペリエンス」「分散型エンタプライズ」の4つです。
「ジェネレ―ティブAI」はものづくり分野で活用できるAI技術。データをもとにコンテンツやモノについて学習することで、創造的かつ現実的なアウトプットを生み出します。
ガートナーの予測では、2025年までに生成される全データのうち、ジェネレ―ティブAIによるものは全体の10%を占めるとされており、今後はソフトウェアコードの作成・医薬品開発・ターゲットマーケティングなどさまざまな領域で活用されるでしょう。
次の「オートノミック・システム」は自己管理型・自立型の物理システムもしくはソフトウェア・システムです。
外部からのソフトウェア更新が不要で自らのアルゴリズムを能動的に書き換えることができるため、人間と同じように環境から学習可能。企業の成長にともなって進化に対応できなくなる従来型の単純な自動化システムと異なり、変化し続ける現場にも迅速に適応できます。
「トータル・エクスペリエンス(TX)」はカスタマー・エクスペリエンス(CX)、従業員エクスペリエンス(EX)、ユーザー・エクスペリエンス(UX)、マルチ・エクスペリエンス(MX)の4分野を融合した、適応力に優れたビジネス戦略です。
TXの導入は顧客や従業員の満足度、信頼、ロイヤリティなどを向上させ、企業の売上と利益を拡大させます。
「分散型エンタプライズ」は従来のオフィス中心型組織とは違って、さまざまな拠点に人材を配置する組織です。
テクノロジやサービスの提供方法の変化やビジネスモデルの再構築などを通して、分散型エンタプライズの利点を活かしている組織の75%は、2023年までに競合他社より25%もスピーディーに売上拡大を実現すると見込まれています。
2つめのテーマである「変化の形成」に関するITトレンドは「AIエンジニアリング」「ハイパーオートメーション」「意思決定インテリジェンス」「コンポーザブル・アプリケーション」です。
「AIエンジニアリング」はAIモデルを継続的に利用するための総合的なアプローチ。導入によって本稼働レベルに至らないAIプロジェクトや、リリースしたAIソリューションの価値維持に時間・コスト・人員を割く必要がなくなります。
ガートナーのバイスプレジデント、デイヴィッド・グルームブリッジ氏は、「AIに取り組むチームが自らの組織を差別化するためには、AIの急速な変化を通じて継続的に価値を高める必要がある」と解説。
AIエンジニアリングのベスト・プラクティスを確立している10%の企業は、2025年までにほかの90%の企業の3倍以上の価値を生み出すようになると予測しました。
「ハイパーオートメーション」は成長の加速とビジネスのレジリエンス向上を実現するために、可能な限り多くのプロセスの特定・検証・自動化を迅速に行う技術です。
ガートナーの調査によると、先進的なハイパーオートメーションチームは「仕事の質の改善」「ビジネスプロセスの高速化」「意思決定におけるアジリティの強化」という3つの優先課題に注力しています。
残りの「意思決定インテリジェンス」「コンポーザブル・アプリケーション」と『信頼の構築』のテーマに関わる4つのITトレンドについては後編で解説していきます。ぜひあわせてチェックしてください。