「Embedded Technology 2017」内で開催される「組込みIoT & AIハッカソン2017」。こちらへの参加を検討している企業や個人に向けた「スタートアップセミナー」の様子をレポートしています。
今回は、昨年のハッカソンに参加し、上位入賞したチームによるセッション内容をご紹介。
【2016年 受賞チームセッション】
一昨年、昨年と2年連続で優秀賞を獲得した、「エスディーテック株式会社」チームが、昨年のハッカソンで作ったのは「次世代コミュニケーションツール『怒り玉』」。
競技ルールとして与えられた「家族をHappyにしなさい」という要求から、Happyでなくなるシチュエーション=家族喧嘩、と定義し、喧嘩の原因である「怒り」を忘れさせる手段=逆ギレ、という発想から『怒り玉』という「怒りを可視化して、動く&熱くなるウエラブル・ツール」を開発しました。
“逆ギレ”を思いつくあたりに発想のジャンプが感じられます。ポイントはブルブル動いたり、熱くなったりする『怒り玉』を身につけることで、人の怒りも検知でき、家族で共有できること。たんに面白いだけではなくて“思いやりツール”でもあるんですね。
※昨年の競技の様子は「組込みIoTハッカソン2016」公式ページからご覧になれます。
IoTハッカソンへの参加効果として「若手育成」があげられていました。「ブラック(つらい労働)という意識を持たず、戦闘力UP」させることができる、とのこと。
実は、ハッカソンの開発スケジュールは結構ハード。課題が発表されてから46時間で「実際に動いて使えるもの」を作らなければならないのです。でも、そのハードワークを前向きに行える仕組みがこのハッカソン・イベントには隠されていそうです。
タイトなスケジュールですが、製造(プログラム開発やハードの選択)には、大きなサポートが得られます。スポンサーのツールやデバイスが使い放題。それらの使い方や発案方法については、事前に講習会があり、“創造”の手法が学べます。
ということで、気になるスポンサーのサポートについても紹介しましょう。
【スポンサーセッション】 日本マイクロソフト
ふたにシールがいっぱい貼られたノートパソコンを手に、テクニカルエバンジェリスト 太田寛 氏が登場。
まずは、マイクロソフトのIoTへの取り組みについて説明してくれました。「Microsoft Azure※ 上に IoTに関するサービスは、4年前はなかった。今年の2月ぐらいに関連製品が揃いました」とのこと。
※Microsoft Azure:クラウド コンピューティング プラットフォーム。
IoT Suite を使えば、既存の機器やデバイスを使って、IoTシステムを構築することが可能。「ワンクリックで簡単作成、実行可能」が売り言葉。小さく始めて拡張してゆけるので、リスクを抑えながら導入することができます。
また、太田氏は「IoTにはAIは必須」と続けます。つまり、「IoTでつなげたセンサーなどでデータを収集するだけでは不十分、それを分析して初めて役立つものができる。その分析にAIが不可欠」 というわけです。
日本はAIビジネスで出遅れた、と言われています。実現しているシステムも多くはPoC(概念実証)どまり、というのが太田氏の認識です。つまり、現実に役立つものはまだ作られていない。
「体験しないと、新しいテクノロジーの利用シナリオは描けない」とおっしゃいます。
でも新しいテクノロジーってどうやって体験したらいいの?って思いますよね。お金がかかりそうだし、そもそも出会うチャンスがないし。。。
そこで、体験の機会としてハッカソンはよいチャンスです。
ハッカソンへのマイクロソフトからの【支援内容】は、以下のとおり。
・技術セミナー
・自習書、各種サンプル 無償提供
・Azure使用無料枠(調整中)
・(提供した技術に関する)QA対応 (スラックで実施 - 開始前に重点的に)
「座学は大っ嫌い!」とおっしゃる太田氏は「スキルを身につけるには実践しかないだろう」という信念のもとに、豊富な支援を提供しようと動いています。
じつは会場に、株式会社エクスモーションの新入社員が来ていました。セミナーを受講した彼らに「どうだった?」と感想を聞いたところ、、、
Aさん「初めて聞く言葉が多く、理解に時間がかかってしまう部分があったのが悔しかったので、もっと勉強をして知識を身に着けたいという意欲がわきました。
白坂先生のように、第一線で活躍されている方の話を聞いて、意欲を掻き立てられました。また、受賞チームの方のお話を聞いて、これからお客様に提案する仕事をしていく立場として、プレゼンのスキルも磨かなければいけないと感じました」
Bさん「AI(コンピュータ)の力が大きくなっている時代でも、大事になる思考法について理解することができ、これから仕事をしていく意義を確認できました。ハッカソンに参加された方のお話からは、より良いものをつくることの面白さを感じられました」
このような彼らがAI、IoT時代を担うのでしょうか?期待していますよ!
どうですか?新しいテクノロジーを体験するチャンスにチャレンジしたくなってきましたか?