eスポーツを通じて社会の活性化に貢献する株式会社eek（イーク） の最近の取り組みについて、【前編】【後編】の2回にわたり紹介しています。【前編】では岡山県真庭市での特別講演をはじめとする自治体へのコンサルティング事業や、eスポーツへの期待の高まりについてレポートしました。
今回は、eekが推進している3つの事業のトピックスを紹介します。eスポーツへの参入を検討している企業や地域振興に活用したい自治体などを支援するコンサルティング事業、eスポーツ関連企業の採用を成功させるマッチング事業、選手の代理人として契約や交渉を請け負うエージェンシー事業。現在、最も多くの話が進んでいるのはコンサルティング事業です。
2023年9月からは、企業向けコンサルティングの一環として、声優を活用したeスポーツレクリエーションの提供もスタート。第一弾ではモデルケースとして、株式会社オブジェクトが運営するeスポーツ応援プロジェクト「声優e-Sports部」とソルクシーズの社内eスポーツ交流会を実施 しています。
ソルクシーズでは、社内におけるeスポーツ部の立ち上げをめざして、社員の参加を募り、eスポーツ交流会を行っています。
「交流会を重ねるなかで、社員の方々に喜んでもらえるような新しいエンターテインメントをと考え、eスポーツ界隈で有名な声優e-Sports部の方をアサインしました。社員のみなさんと対戦したり、一緒にチームを組んで戦ったりと社内イベントを盛り上げていただきました」（山上社長）
近年は多くの企業で社内を盛り上げるための福利厚生として、eスポーツ部を設立する動きが増えてきました。
「今後は、ほかの企業のeスポーツ部でも、声優さんたちと交流できる社内レクリエーションを実現できればと考えています」（山上社長）
「新しいマーケットの創出と市場拡大も期待できる取り組みです。ゆくゆくはeekの求人マッチングサイトに声優さんが登録してくれるなど、コンサルティング以外の事業にも波及していくと理想的ですね」（ソルクシーズ・Aさん）
現在は、「新たにeスポーツ事業に参入したい」という企業ニーズも増加しているといいます。
「さまざまな企業にアドバイザーとして関わっていくなかで、新たな仕事が生まれれば、採用マッチング事業の成長にもつながります。複数の事業を絡めながらマッチングサイトの掲載企業と求職者を増やして、少しずつ収益を伸ばしていく予定です」（山上社長）
採用マッチング事業は、求人サイトに登録した求職者が掲載求人に直接応募する仕組みですが、採用ニーズが高い企業に対しては人材紹介サービスを実施しているそうです。
ゲームタイトルによって、アスリートとしてのピークが異なるeスポーツのなかで、タイトルによっては、活躍できるのは20〜30代といわれています。
「瞬発力が必要なゲーム、チーム対抗のゲームでは、若くして引退する選手も少なくありません。加えてゲーム自体の寿命も選手生命に関わります。たとえばFPS（シューティングゲーム）は、人気タイトルの移り変わりが速く、どこまでニーズが続くかわからないところがあります」（山上社長）
eekではこのような状況をふまえ、プロとして活躍することが難しくなった選手や、競技者のサポート・教育といった形でeスポーツに携わりたい選手のセカンドキャリア構築支援も行っています。
2023年10月には、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社に所属するネモ選手とスポンサー契約を締結 。兼業プロゲーマー時代の経験を活かして、選手たちの引退後のキャリア形成支援にも尽力しているネモ選手との協業は、eスポーツ関連の仕事の幅を広げる取り組みになるかもしれません。
「ネモ選手の活動と求人メディアを運営している弊社とで大きなシナジーが得られると考え、スポンサードをすることになりました。今後は協力して選手のセカンドキャリアを支援していきたいと考えています」（山上社長）
一方、長期的な成長を見据えて、積極的に種をまいているのがエージェンシー事業です。プロとして活躍していたことがある元選手や海外のエージェントにも業務委託しつつ、プロ選手とのネットワークづくりを着々と進めています。
「エージェンシー事業は、選手の年俸が高額になっていかないとマネタイズが難しい領域です。そのため、国内だけでなく海外も見据えて、じっくり成長させていく必要があります。
eスポーツの市場規模がどのくらいになるかは未知数ですが、リアルのメジャースポーツに匹敵するポテンシャルがあるのではないでしょうか。実際に、選手の年俸は徐々に上がってきています」（山上社長）
このようにeスポーツに関連する幅広い取り組みを同時並行で進めながら、業界全体の発展と事業拡大を推進するeek。eスポーツや関連ビジネスに興味がある方は、ぜひ今後の動向にご注目ください。
