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ITトレンドレポート

5分でわかる!話題のITトレンド2021①トータルエクスペリエンス

ITトレンドレポート

めまぐるしく変化し続けるIT業界。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、テレワークや巣ごもり需要など、さまざまなスタイルの変化があり、ITトレンドに大きな影響を与えています。

2021年に話題になっているトレンドを紹介する「5分でわかるシリーズ」の第1回は、トータルエクスペリエンス。ガードナー社が4月に発表した「2021年の戦略的テクノロジ」で、トップ・トレンドに挙げたビジネス変革のキーワードです。

トータルエクスペリエンスは、2019年にITトレンドとして注目された「マルチエクスペリエンス」を発展させた概念です。そもそもマルチエクスペリエンスとは、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)などの技術を使って、現実世界では得られない多様な知覚・体験を生み出すことを指します。

トータルエクスペリエンス(TX)は、このマルチエクスペリエンス(MX)に加えてユーザーエクスペリエンス(UX)、カスタマーエクスペリエンス(CX)、エンプロイーエクスペリエンス(EX)をリンクさせ、総合的に良質な体験を生み出すというものです。

従来型のビジネスモデルのほとんどが顧客・ユーザーの体験に重きを置いていたことを考えると、従業員の体験(エンプロイーエクスペリエンス)の向上は、今までになかった斬新な視点です。社員のエンゲージメントの強化によってサービスの質が高まったり、改善スピードが上がったりするという概念は、デジタルトランスフォーメーションにも通じる考え方です。

「働きがい」をはじめとして、従業員が勤務中に得られる経験価値の向上は、生産性や企業のブランド価値だけでなく、従業員の帰属意識をも高めます。とくに給与などの経済的な豊かさよりも、楽しい生活を重視する傾向が強いミレニアル世代以降の従業員を企業に定着させるうえでは重要なポイントです。

最近は、経営者・総務・人事担当が集うイベントを開催する企業や、フレキシブルな働き方を推進する企業が増えるなど、エンプロイーエクスペリエンスへの関心が高まっています。定期的に上司と部下が1対1で面談する機会を設けたり、ワーケーションやプレジャーを取り入れたりするなどの動きも活発化しています。

ガードナー社は、トータルエクスペリエンスを提供する組織の満足度評価指標が競合他社を上回ると予測。コロナ禍に伴うモバイル化・仮想化・分散化といったワークスタイル・ライフスタイルの変化も、トータルエクスペリエンスの重要性を後押ししています。VR/AR技術を駆使して、服や家具の選び方を社員がアドバイスするサービスなどは、代表的な事例です。

あるいはミュージシャンの無観客コンサートでも、過去の観客席の映像やAR/VRによる演出、投げ銭機能、リアルタイムのチャット機能など、オンラインでありながら臨場感を生み出すさまざまな工夫が凝らされています。多様なコミュニケーションが可能になったなかで、ユーザーと主催者の関係構築は、リピーター増加につながる重要な要素となっています。

トータルエクスペリエンスの概念を的確に事業に取り入れれば、企業・顧客・従業員・ユーザーの間に新たなコミュニケーションの機会を創出できます。動画サイトやSNSの評判が売上に影響を与えるようになった今、良質な体験とコミュニケーションの重要性はますます高まっていくでしょう。

「5分でわかるシリーズ」の第2回は、「エッジAI」について紹介します。

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