2022年2月、コミュニケーションロボット「Kebbi Air」を活用した新しい高齢者見守り支援システム「いまイルモ Kebbi Air(仮称)」がリリースされました。事業にとって、新たなロボットとのコラボレーションは、重要な商品戦略のひとつ。「いまイルモ」のシステムとセンサーの保守・運用を担当していたOさんにとっては、開発プロジェクトに携わるチャンスでした。
ロボットの話をする前に、高齢者見守り支援システム「いまイルモ」の仕組みについて紹介しておきましょう。独り暮らしの高齢者のリビングや、介護施設の居室などにセンサーを設置。在室・不在の確認、室内の温度、湿度、照度などの計測ができ、異変があれば家族や介護の担当者に通知が届くサービスです。
「いまイルモ」とコミュニケーションロボットは、実は相性がよく、薬の飲み忘れ防止や、認知症の方の徘徊防止などで効果を発揮します。「Kebbi Air」導入の検討が始まったのは、2年前。以前にリリースした外出防止支援ロボットに続く次世代モデルとして、システム企画、仕様決定から開発までをまかされたのがOさんでした。
「プロジェクトにアサインされたのは、入社して3年めでした。もともとアンドロイドアプリの開発経験があったので『Kebbi Air』がアンドロイド搭載ということで開発担当に抜擢されました。『Kebbi Air』の実機を入手して調査を始めたのは1年半前です」
メンバーに加わった当初から、何ができるだろうという期待感があったというOさん。コミュニケーションだけでなく、モーションも組み込めるなど自由度が高く、おもしろかったそうです。
「事業に加わってからずっと、『いまイルモ=センサー』と考えていたので、ロボットという発想自体が新鮮でしたね。何ができるロボットなのか、『いまイルモ』として何を実現できればいいのかを整理するところから始めました」
「おもしろい反面、ロボットならではの難しさも感じました。ロボットがしゃべるのは当然で、さらにモーションも付けられるとなると、実はやれることがたくさんあるんです。
たとえば、『お薬飲んだら、手を握ってね』とロボットにいわせて、手を握ったらセンサーで記録するとか。当初はベーシックな機能でスタートするのですが、会話じゃないトリガーを使った機能も充実させたいと考えています」
ロボットというと、「かわいかったり癒されたりするだけで、サービス運営上のメリットはない」と考える方もいます。しかし、「いまイルモ Kebbi Air(仮称)」は、介護施設入居者の24 時間見守りや、個々の生活状況のチェックなどができるため、スタッフの方々の業務負荷を軽減することができます。
介護施設に対するプレゼンテーションで、最初にロボットが挨拶すると、会場は盛り上がるそうです。徐々に注目度が高まっている「いまイルモ Kebbi Air(仮称)」。介護施設における実証実験が既に始まっており、秋以降は一般販売がスタートする見通しです。
頭部、頬、腹部などのタッチセンサー、画像認識・顔認識、チャットや情報検索など多彩な機能があり、今後のバージョンアップの可能性が広がる「いまイルモ Kebbi Air(仮称)」。エンドユーザーの満足度がわかる取り組みは、サポート業務が多かったOさんのよい開発経験となるのではないでしょうか。