「難しい案件だから、ぜひお願いしたいとお声がけいただいたとき、気合が入りました」というのはチーフマネージャーのNさん。2021年に上流工程から参画した官公庁向けの刷新システムでの開発は、工期の厳守が必須条件で、品質への要求も厳しかったといいます。
それから3年。結合テストおよびシステムテストにおける品質安定化への取り組みを評価され、2024年3月に発注元の日立ソリューションズ・クリエイト(HSC)様から感謝状をいただきました。お客様から評価をいただいたプロジェクトの全体像と、チームとしての取り組みについて話を聞きました。
「日立ソリューションズ・クリエイト(HSC)様とのお付き合いが始まったのは、2012年でした。2018年から、規模が大きな仕事をいただくようになりました。それまでのさまざまなプロジェクトに対して、適切な体制を作って実績を積み上げていったのが評価されたのだと思います」
今回のプロジェクトには、基本設計から携わりました。当初は5人のチームという話だったのですが、いざ蓋を開けてみると、20人が必要ということがわかったそうです。
「パートナー企業に声をかけて4ヵ月で一気に増員したことや、信頼できるリーダーをアサインするのに1年かかるなど、立ち上げからしばらくは人員の調達とマネジメントに注力しました」
官公庁のルールや案件の制約条件を理解すること、要件の全体像を把握することも重要なプロセスだったといいます。基本設計から詳細設計に進むと、少ないときは10人、多いときは25人と工程ごとに最適化を図ったそうです。
「人員に関しては、会社がしっかり支援してくれたので、やり切るしかないと思っていました。製造工程に入ると40人のプロジェクトになり、3つのチームにリーダーを立てて工程を管理する体制にシフトしました。私より、3人のリーダーさんが大変だったんじゃないですかね」
システムの仕様が複雑で、特殊なフレームワークを使う開発でもあったので、学習能力が高いメンバーをアサインして、プロジェクトの他のメンバーに教えてもらうようにしたというNさん。製造に入る前から、チームの技術力がリスクになりえると考え、先手を打って準備したといいます。
「大事にしていたのは、要員調達のスピードと、HSC様との関係構築です。立場が違っても、プロジェクトのゴールは同じなので、何でもざっくばらんに相談しようと心がけていました」
人員の増減が激しいプロジェクトゆえ、各チームの対応力も重要になってきます。細かく指示を出しすぎるとチームが育たないと考え、それぞれの工程やタスクのポイントだけ伝えて、現場の管理はリーダーにまかせていたそうです。
結合テストが終わったのは昨年の8月。現在は、システムテストを行っています。HSC様から感謝状をいただいたときの心境を聞くと、こんな答えが返ってきました。
「がんばったメンバーに伝えたい、と思いました。HSC様にお祝いの会を開いていただいたときに、『難しい案件に対して着実に体制を作り、納期を守って進めていただいてありがとうございました』といわれました。開発現場の状況を知っている方にほめていだだくと、やっぱりうれしいですね」
これからシステムテストを終え、年が明ける頃には、長期間に渡って携わってきたシステムが稼働し始めます。先々、手がけたい仕事について聞くと、「プロジェクトマネージャーを育てたいですね」。プロジェクトの要員計画とマネジメント、工程や費用の管理ができる人材を育成するためには、いい経験を積める場が必要になります。
「エンジニアとして必要な技術力があり、10人ぐらいのプロジェクトを円滑に進められるとともに、お客様といい関係性を築ける人を育てられればいいなと思います」
今回のプロジェクトについて、「難易度が高く、自分ひとりではとてもできなかった。携わったメンバーに感謝している」というNさん。お客様からの感謝状は、プロジェクトに参加した全員がそれぞれの仕事を振り返り、自信を深めるいい機会になったのかもしれません。