Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsに、GPT-4の大規模言語モデル(LLM)をベースにしたAIを導入した「Microsoft 365 Copilot」。11月から法人向けのサービスを開始した新機能は、これまで手で行っていた作業をAIに代替させることで、業務効率を飛躍的に高めるといわれています。
Word、Excel、PowerPointはAIに指示を出すだけで、構成要素、ビジュアルやテキストのトーン、長文整理や内容のチェックまでを自動で行ってくれます。これは、従来語られてきた「Excelの初級・中級」といったレベルの話とは次元が違います。
ソフトの操作法は、あくまでも「手を動かしてできる作業が多いか少ないか、速いか遅いか」です。しかし、生成AIツールを使えるかどうかの違いは、「どれだけ多くの仕事を代行させられるか」。人間がやれば数時間かかる業務でも、AIは瞬時にできてしまいます。
つまり、生成AIツールを活用する・しないは、すべてを自分でやるか、専属の事務アシスタントと一緒にやるかというような歴然とした差がつくということです。ツールは嫌いだから使わないけれど、自分で作れるから大丈夫というわけにはいかなくなるでしょう。
生成AIが当たり前に使われる時代に求められる力は、最終的な仕上がりをイメージして的確な指示を出す「ディレクション力」、基本的なアウトプットを目的に応じてカスタマイズしていく「応用力」「編集力」、作った資料と情報が適切であるかを吟味する「判断力」、効率よく作成した資料の「活用力」です。
また、こういった話になると、「AIが人間の仕事を奪う」などとよくいわれますが、実際はそうはならないでしょう。人の仕事が減るのではなく、むしろ増えるはずです。AIのサポートによって一人ひとりが対応できる業務量が増え、企業や組織の生産性のほうが格段に高まっていくのは間違いありません。
新聞や雑誌を読み、電話や文書でやりとりしていた時代から、ポケベル、インターネット、メール、ケータイ、スマホ、チャット、オンライン会議ツールと情報伝達の手段が進化してきたなかで、個々に求められる業務量とスピードが変わりました。生成AIが普及すれば、個人ができることが広がり、ビジネスのスピードはさらに加速していくでしょう。
ただし、事務系の仕事に求められることは変わるものと思われます。AIによって「調べる」「探す」「まとめる」作業が削減され、誰でもすぐに一定レベルの資料が作れるようになるので、今後はアウトプット自体の質と、それらを活用して何を生み出せるかが問われるようになってきます。いずれにしても、生成AIツールはもはや避けて通れず、できるだけ早く使いこなせるようになったほうがいいでしょう。
マイクロソフトによると、「Bing Chat」も同じタイミングでバージョンアップしており、これまでの活用履歴や保存した記事、画像から、一人ひとりの趣味・志向やニーズの高い情報を把握し、おすすめのコンテンツを提供していくようになるそうです。
「Microsoft 365 Copilot」も、好みの色とレイアウト、表現のトーン、よく使う市場データなどを学習し、望み通りの資料を作成してくれるようになるかもしれません。上司によく突っ込まれるポイントまで覚えてもらえるとありがたいですね。
以上、2回にわたって「Microsoft 365 Copilot」の機能と今後のビジネスに与える影響を紹介しました。Windows11を使っている方は、「Copilot in Windows」を利用できるので、興味があれば利用してみてください。
ちなみにこの記事は、「Microsoft 365 Copilot」は使っておらず、自分で収集した情報をもとに構成と表現を考えて書いています。もしかすると、「マイクロソフトが発表したニュースリリースをわかりやすくカジュアルなトーンにまとめてみて。100文字ぐらいで」とオーダーしたら、もっといい記事ができたかもしれませんね…。