「残業が多くブラックな業界」「理系じゃないと就職できない」「実力主義のシビアな雰囲気」「オタクが多い」「コミュニケーションが下手」…ひと昔前のシステムエンジニアは、ネガティブなイメージで語られることが多い職業でした。
しかし、今は違います。高校生のなりたい職業ランキングでは、どんな調査でもTOP3。「技術を持っていてカッコイイ」「AIを知っている人たち」といわれる憧れの仕事です。今回は、昔ながらのシステムエンジニアのイメージと現状を比較し、鮮やかなイメージチェンジを称えつつ、この仕事の未来について考えていきます。
働き方は変わりつつあるIT業界とシステムエンジニア
最初に払拭したいのは「システムエンジニアは残業・休日出勤が多くブラックな業界」というイメージ。「体力や忍耐力・精神力がないとシステムエンジニアは務まらない」「激務に耐えられず辞めてしまう人が多く、残された人にそのしわ寄せが来る」などと、まことしやかに噂されていた時期もありました。
確かに、システム開発の現場では納期に追われたり、予期せぬトラブルが発生したりして、時間外労働を余儀なくされるケースは存在します。
とりわけSIerはクライアントありきの仕事でもあるため、要望によっては「余裕を持ったスケジュールが設定できない」「突発的な仕様変更が発生する」など、自社の都合だけで業務負担をコントロールできない場面もあります。
またプロジェクトによっては、業務量に対して人手が不足しているために、長時間労働にならざるを得ないケースもあるでしょう。
しかしIT業界全体としては、労務管理への意識が高まっており、ホワイトな企業・現場や、残業が少ないシステムエンジニアが増えています。コロナ禍をきっかけに多くの企業がいち早くテレワークに対応しており、現在も在宅勤務中心という人も多い仕事です。
少子高齢化などを原因とした人手不足の深刻化という背景もあって、技術者の離職を防ぎたいIT企業の多くが働き方改革を推進しており、個々のワークライフバランスは格段に向上しています。
最先端の技術のみならず、常に学習が求められる仕事
よくあるシステムエンジニアのイメージといえば、「最先端のテクノロジーに関わる仕事で、絶え間ない勉強が必須」。これは、あながち間違いではありません。
ブロックチェーン、IoT、クラウド、AI、ビッグデータ、DX、CASE…IT業界には続々と新しい技術が登場し、トレンドといわれていた技術や考え方がめまぐるしく入れ替わり続ける世界です。技術の発展に伴って、個人・企業の情報を狙うサイバー攻撃も絶え間なく進化を遂げており、セキュリティ関連の知識が古いままだとよりリスクは高まります。
それだけに、常に最新の情報にアンテナを張り、知識・技術をアップデートしていく姿勢が求められます。海外の最新情報を入手するために英語を勉強したり、改めて大学に入学して体系的な知識を身に付けたり、学会に参加したりするシステムエンジニアも増えているようです。
クライアント企業やエンドユーザーのニーズを理解するうえでは、さまざまな業界に関する幅広い知識も武器になります。現在、ICTを活用したシステムとまったく無縁という業界はほとんどありません。プロジェクトが変わるごとに、金融・医療・製造業・官公庁などと、携わる業界が変化していくケースもあります。
キャリアプランによっては、専門的な知識を更新すると同時に、上流工程のノウハウやチームやプロジェクトのマネジメント、高度なビジネススキルなど、役割に応じた新しい能力を獲得していくことも大切です。
長く働き続けるためには、「成長しなければ置いていかれてしまう」という危機感が必要。一方で、世界の最先端のテクノロジーに触れられるうえに、いつでも新しい刺激があり、好奇心が旺盛な人や変化を楽しめる人にとってはやりがいのある仕事ともいえます。
ITはインフラ 存在意義と影響力は高まった!
「社会に与える影響力が大きい」というのも、システムエンジニアの現実と一致するイメージのひとつでしょう。業務を効率化するシステムや、生活を便利にするアプリ、電子決済サービスなど、現代社会においてシステム開発はなくてはならないソリューションです。
自分が開発したシステムがたくさんの人に使われるという経験は、ほかの職種ではなかなか味わえないもの。クライアントやエンドユーザーから喜びの声が届く機会も少なくありません。それだけにやりがいが大きく、社会的な意義を感じやすい仕事といえます。
官公庁のシステムや、誰もが知っている企業・サービスの開発案件に携わるケースもあり、大規模なプロジェクトの場合には開発が数年にわたる場合もあります。チーム一丸となって困難なプロジェクトを遂行したときの達成感はひとしおです。
システムエンジニアは技術を追求しているというイメージがあるからか、「仕事ばかりしている」「難しい言葉を使っている」「マジメ」「理系」「オタク・コミュ障が多い」と思われがちですが、プロジェクトのミーティングをのぞいていただければ、先入観を捨ててもらえるのではないでしょうか。
ユーザーの裾野が広がった今、エンジニアはサービス業
システムエンジニアの仕事は、さまざまな領域のスペシャリストが力を合わせるチームプレー。ほかのメンバーと良好な関係を築いて円滑に業務を進めていくためには、コミュニケーション力が非常に重要です。
とくにリーダーとして現場を仕切るようになると、各メンバーの強みを最大限に引き出せるように環境を整えたり、人間関係のトラブルに臨機応変に対処したりと、チーム全体を見渡す視野の広さや柔軟性が求められます。外部パートナーのディレクションも含めて、関係者との信頼関係を構築・維持するリレーションシップも大切です。
さらに、要件定義ではお客様へのヒアリングを通して、ニーズや実装したいシステムの詳細を明確にしていく必要があります。求められているものとの齟齬を出さないためには、傾聴力や質問力、相手の意図を汲み取る力が欠かせません。
クライアントによっては、ITに関する知識が乏しい組織もあります。専門用語を噛み砕いてわかりやすく説明したり、より効果的な施策をロジカルに提案したりと、伝える力が求められます。もちろん、ときには納期・予算などの交渉が必要になるシチュエーションもあるでしょう。
開発するシステムも、使い勝手の良いUIなどで、高いUXが得られるものでなければ、すぐに利用されなくなってしまいます。ユーザーのためにサービス精神や想像力を働かせるなど、システムエンジニアは「人の気持ちがわからないと務まらない仕事」なのです。
実際に現場では、情報工学に縁がなかった文系出身者や、入社後にプログラミングを学んだシステムエンジニアが数多く活躍しています。近年は未経験者採用を増やしている企業が多く、その大半が入社後にスキルアップできる体制を整えています。
エンジニアの強み自体が多様化している
理系出身者や対人スキルに苦手意識があった人でも、システムエンジニアになったことでコミュニケーション能力が向上するケースは珍しくありません。「一日中パソコンの前で作業をしている」というイメージで就業すると、ギャップを感じる可能性があります。
なかには、「システムエンジニアは実力主義で、技術・スキルがないと肩身の狭い思いをする」と考えている人もいるでしょう。確かにシステムエンジニアは成果に応じて報酬や待遇が決定される傾向があり、とりわけベンチャー企業やWebサービス系の企業は成果に対する評価がシビアです。
ただし、システムエンジニアの「実力」は、必ずしも技術や知識に限定されるものではありません。最先端の技術に特化したエンジニアもいれば、コミュニケーション能力を活かして顧客対応で力を発揮する人、幅広いスキルを活かしてマネジメントで成果を出す人もおり、キャリアの選択肢は多岐にわたります。
知識・技術・経験・実績をしっかり評価されるという点では、努力が報われやすい仕事ともいえるでしょう。
加えて案件によっては、別の業種での業務経験があったり、特定の業界の知識が豊富だったりと、IT以外の分野に精通していることが強みになることもあります。多様な人材が活躍できる間口の広さは、システムエンジニアならではの魅力です。
今後は年収相場が上がり、キャリアの選択肢が増える?
就活中の学生のみなさんからは、「システムエンジニアは給料がいい」「手に職があるから、長期的に安定した収入が望める可能性が高い」といった声も聞かれます。このイメージは、どうなのでしょうか。
令和5年の「賃金構造基本統計調査」をベースに算出※すると、システムエンジニア(コンサルタント等を含む)の平均年収は、企業規模100~999人の企業の年収平均は、約611万円、プログラマは約520万です。企業規模1000人以上になると、さらに年収はアップします。(※所定内給与ベースに賞与を加算)
しかも経験・スキルを身に付け、キャリアに伴って年収が上がる企業が多いため、高いモチベーションを維持しやすい仕事といえるでしょう。たとえば経済産業省が平成29年に発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査」によると、管理職にあたる「プロダクトマネージャー」の平均年収は891.5万円。同調査の「SE・プログラマ」の平均年収と比べて300万円近い差があります。
経験を積めばフリーランスとして独立する道があるのも、エンジニアの特徴のひとつです。スキルセットにもよりますが、正社員と比べて稼働時間や案件の自由度が高いことから、ゆくゆくはフリーランスを目指したいというシステムエンジニアも少なくありません。
情報技術が普及したこと、あらゆる業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が認知されたことで、システム開発の市場規模も順調に拡大中です。加えて現在は、IT人材の不足が深刻化しており、その傾向は今後さらに加速すると予測されています。
2016年の経済産業省の調査でも、2030年までに最大約79万人のIT人材が不足すると試算されており、IT業界は完全な売り手市場。技術力とコミュニケーション力が高いシステムエンジニアの需要は拡大していくと見ていいでしょう。将来性を考えると、めざすなら今がチャンスといえそうです。
重要なのは、ニーズが高い領域で技術や知見を高めること
ただし長期的なキャリアを見据えるなら、企業のニーズが高い領域を見極める必要があります。コーディングを自動化するツールの登場により、基礎的なシステム開発の業務工数は軽減されました。ChatGPTをはじめとする生成AIの進化も、この傾向にさらに拍車をかけています。
つまりハイレベルな技術がないシステムエンジニアや、マネジメントスキルや企画力・提案力がない人材は、将来性が危ぶまれる可能性もあるのです。
IPAの「DX白書2023」は、「重要度の高いITスキル」として以下の6つのカテゴリーを明示しています。
・AI/人工知能やIoTなどの先端技術領域
・プロジェクトやタスクのマネジメントスキル
・業務関連のコミュニケーションスキル
・商品やサービスの特性やツール関連といった業務知識
・デザイン思考なども活用したビジネス企画スキル
・数学や芸術といったSTEAM領域や英語
STEAMというのは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉です。
ここで押さえておきたいのは、データサイエンス、AI、IoT、ブロックチェーン、CASE、AR/VR、X-Techなどの技術がある「先端IT人材」だけのニーズが高いわけではないということです。自らの強みを活かせる領域を明確にして、知見を高めていけば、市場価値が高い人材として評価されます。
技術の進化によって、IT人材の将来性は確実に高まったといえるでしょう。
ソルクシーズは、人材育成と働きやすい環境づくりに注力しています
DXで日本のビジネスを導く「ソルクシーズ」は、エンジニアが長く働き続けることのできる企業をめざして、人材育成と働きやすい環境づくりを推進しています。
平均残業時間は一般的なシステムエンジニアの平均である32.8時間を大きく下回る「11.1時間」(※2021年度データ)。また合計15カ月の初期研修をはじめとする充実した教育体制や、フリーアドレスのオフィス、充実した福利厚生など、エンジニアが集中して仕事に取り組める会社です。
これらの取り組みにより長期間在籍する社員が多く、「3年後離職率9.6%」「平均勤続年数15年」となっています。将来性の高い金融・製造・官公庁などの案件獲得や、SIビジネスとストックビジネスの両輪による安定した経営基盤も強みです。
現在は「新卒・中途」「理系・文系」「男性・女性」を問わず積極的な採用を推進中。幅広い技術・知識が習得できるeラーニングサービスや、6000以上のコンテンツが学べる動画学習サービスなどの教育システムを導入しており、経験者・未経験者を問わずスキルアップできる体制が整っています。
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※この記事は2023年4月7日に公開した記事を再編集しています。