コロナウイルスの感染拡大以降、すっかり定着した感があるテレワーク・リモートワーク。IT企業にいると、世の中の大半の会社がテレワークを導入しているように感じられますが、実際にテレワークで働いているのは1/4程度です。
2020年11月にパーソル総合研究所が実施した「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、15,603人の回答者のなかで、テレワーク実施者は24.7%。4月の緊急事態宣言時は27.9%で、感染拡大が収まった夏以降に出社するようになった層が存在します。
さて、テレワークが導入されるようになって、企業と社員はどう変わったのでしょうか。前述の調査より、社員の意識の変化について探ってみましょう。
テレワークを導入する企業が増えた当初、いち早く話題となったのは、「社員の生産性が下がるのではないか」。
管理職の目が行き届かない、ネットTVやゲームに没頭していても誰にも気づかれないといったあたりが主な理由です。テレワークで働いている社員に聞いてみると…何と、2/3が下がったと感じているそうです。
「職場に出勤していたときの生産性を100%とすると、テレワークでは何%?」という設問の平均は84.1%。最も多いのが80%で20.1%、変わらないと答えたのは18.6%で、高まったという回答は16.6%に留まっています。
業種・職種別に見ると、生産性が高かったのは情報処理、通信技術、専門・技術サービス、商品開発。Web関連職種やシステムエンジニア、企画は、「いつまでに、何をどこまでやる」が明確で、コロナ禍以前からリモートでやりとりするのが当たり前だった仕事です。
これらの職種とは逆に、生産性が落ちたという実感が強かったのは、営業、医療・介護、販売・サービス、事務・受付といった対人業務です。そうですよね。いきなり「オンライン会議ツールで営業」「ネットで販売」「チャットで事務作業のやりとり」などとなったら、組織も社員も戸惑うでしょう。
業種・職種ごとのネットリテラシーやテレワークとの親和性に加えて、「上司のタイプ」も、パフォーマンスに影響しているとのこと。成果が出ている組織の管理職は「部下の目標についてよく話し合い、キャリアアップを考えている」「組織の雰囲気を盛り上げる」「幅広い人脈」「他部門の管理職との調整・交渉に積極的」という傾向があるそうです。
テレワークの社員にとって、最も大きな悩みはコミュニケーションとモチベーションであるということですね。
ソルクシーズも、昨年の4月からテレワークを導入し、多くのシステムエンジニアが自宅で仕事をしています。
情報共有や仕事の連携について、組織ごとにさまざまな工夫をしており、「テレワークで上司や同僚に、ちょっといいですか…と話しかけやすくなる相手の状況検知システム」の構築を本気で考えている社員もいます。
テレワークのさらなる浸透によって、同僚とのポジティブな関わりや仕事のやりがい向上を求めるシステムエンジニアが増えれば、「働きたいIT企業」の条件として、活発なコミュニケーションやキャリアアップのサポートなどが重視されるようになるかもしれません。
次回の「ニッポンのテレワーク最新事情2021」は、テレワーク社員の意識の変化について紹介します。