実務で使いこなしているスキルを持つ社員が、そのスキル習得を必要とする社員向けに実施しているソルクシーズの勉強会。
短期集中連載として、【Salesforce勉強会編 】【C#勉強会編 】【Java開発教育編 】をレポートしましたが、今回はまとめとして「勉強会を成功させるためのコツ」を紹介します。
勉強会を主催するとなると、とりわけ大変なのが「テキストの準備」「出欠確認などの運営」「受講者の習熟度の把握とフォロー」です。
テキスト準備については、手間がかかるのはやむなしでしょう。ソルクシーズの3つの勉強会では、それぞれ1ヵ月程度の時間を割いてテキストを制作しています。
テキストに関して工夫できるポイントは、2点です。「最初に全部のテキストを用意する」「2回め以降の実施を想定して、汎用性の高いものにしておく」。勉強会を開催するたびにテキストを用意していると、主催者の負担が長期間続くことになるからです。
また、ストーリーやゴールイメージがないまま進めて、思うように上達しない勉強会にならないためには、C#勉強会 のように「スキルアップしたら、そのスキルを使って他部署の仕事の応援に入れる」というような目標設定が参考になるでしょう。
テキストとスケジュール表が完成していて、修了した受講生はどうなっていて欲しいのかが明確であれば、宿題の出し方やフォローアップの仕方で悩むことはなくなり、実施期間中は受講者フォローの実作業に集中することができます。
PDCAを効果的にまわすという観点からも、当初のプランニングと目標の明確化は重要です。
運営については、「講義をやめて自習と課題提出のみにした」というJava開発教育 の試みが参考になりそうです。
「勉強会=講義形式」と考えがちですが、決まった時間に集まるのが必須となると、業務の都合で参加できなくなった社員のフォローに別途、時間をとる必要が出てきます。
「直接説明・指導でき、わからないことをその場で解決できる」「自発的に勉強しようとしない受講者でも、参加さえしてもらえればひととおり学べる」など、講義形式のメリットもあるのですが、「スタートもゴールも個別に設定できる」自習中心のほうが、全体の習熟度が上がる場合があることは、選択肢のひとつとして押さえておいたほうがいいでしょう。
受講者フォローにおいて、最も悩ましいのは「挫折防止」でしょう。ソルクシーズの勉強会では、「達成感がある課題を出すことによって、受講者のモチベーションを上げる」といった工夫がありました。
私からひとつ案を出すと「メルマガを発行し、いい作品(システム、プログラム)を共有して、全体の納得感や提出者のやる気を高める」というアプローチもおもしろいのではないでしょうか。
「勉める(= 苦労)・強いる(= 強制)」という意味合いがある「勉強」を、苦痛に感じる人は多いもの。
出席できない受講者や、提出物をなかなか出さない社員を咎めるよりも、しっかり学んだ人をほめるなど、ポジティブな雰囲気を作ったほうが修了率が上がるケースもあるようです。
社員のスキルアップ方法を検討している方、これから勉強会を企画する方、の参考になれば幸いです。