オフィスで仕事が一段落ついたとき、交差点で信号待ちをしているとき、カフェで本を読んでいるとき。
少しだけ目をつぶって、流れてくる音に耳を澄ましてみてください。仕事の音、生活の音。私たちは、日々の時間をさまざまな音とともに過ごしています。すべてが心地よい音ならいいのですが、騒がしく感じる音、耳障りな音が多いのも事実。
環境省は、環境基本法に基づいた「騒音に係る環境基準について」のなかで騒音のレベルを明示していますが、商業・工業地域なら昼間60デシベル、夜間50デシベル。住宅地では、それぞれ55デシベル、45デシベル以下を維持するように求めています。
一般に、人間が静かだと感じるレベルは40デシベル以下。図書館がこれに当たります。換気扇やクーラーの室外機は50デシベル。普通の会話や静かな自動車の音で60デシベル。
これを超える音、例えば地下鉄の車内や人が多い街頭、電話の鳴る音、工場の機械が動く音などは、立派な騒音。ずっと聞き続けているとストレスがたまり、イライラ、頭痛、集中力や記憶力の低下などが起こり、ひどくなると聴力だけでなく、視力が低下することもあるそうです。
これらの数字をみて、どう感じましたか?
そう、オフィスや家で普通に使っている換気扇やクーラーの音は、意外と大きい音なのです。
東京都環境局は、生活騒音を5種類に分類しています。
1)家庭用機器からの騒音(冷蔵庫、洗濯機、掃除機など)
2)家庭用設備、住宅構造面からの騒音
(空調、バス・トイレの給排水、ドアの開閉音など)
3)音響機器からの音
(ピアノ、ステレオ、テレビ、ラジオなど)
4)生活行動にともなう音
(話し声・泣き声・笑い声、跳びはねる音など)
5)その他
(自動車・オートバイの空ぶかし、ペットの鳴き声、風鈴の音など)
働いている人が日中の多くの時間を過ごすオフィスでの「生活」まで入れると、50~60デシベルといわれるパソコンのサーバーの音や、70デシベル以上になる電話の音なども、生活騒音といっていいでしょう。ひとつひとつの音は気にならなくても、重なると気が散ってしまうということもあります。
環境省作成のリーフレット「その音だいじょうぶ?」では、「掃除機、洗濯機、エアコンなどは、品質表示ラベルに書かれている騒音値が小さい機種を選びましょう」とまで書かれています。
騒音といわれると、新幹線や飛行機、ブルドーザーなどをイメージしがちですが、実はもっと身近な音も騒音なのですね。社会全体の騒音に対する問題意識が高まっていくにつれて、オフィス機器や家電、設備、自動車などのメーカーの「静音化」への取り組みは、ますます重要になっているのです。
株式会社イー・アイ・ソルも、騒音や異音の問題に取り組む企業のひとつです。ただしこちらは、「音が出ない製品」を作るのではなく、「音を測る製品」を作っている会社です。しかも、ただ測るだけでなく、実現しているのは「音の見える化」。
「音をリアルタイムで計測する」「計測した音をすべて保存する」
「特定の音だけ拾う」「PCやタブレットで音の状況がわかる」
といった他にはない機能で、音を見える化する仕組み。
次回は、音が見えるということがどういうことなのかを紹介します。