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イー・アイ・ソルがアメリカで受賞した「Outstanding Contribution Award」とは?【後編】

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アメリカのテキサス州に本社があるナショナル・インスツルメンツ社が、優秀なパートナー企業を表彰する「Outstanding Contribution Award」。2024年度に日本唯一の受賞企業となったイー・アイ・ソルは、「ADG(航空宇宙、防衛、政府)とHIL(モデルベース開発/シミュレーション)分野での取り組みと成長」を称えられています。

※(欧米ではHIL:Hardware In the Loopという呼ばれ方が一般的ですが、日本ではHILS:Hardware In the Loop Simulator / Hardware In the Loop Systemという呼称が多用されているため、以後、当記事では引用部を除きHILSを使用します)

平澤社長に話を聞くと、今後の事業の柱になりえる領域としてADGとHILSを選んだのは、1年前だったとのこと。イー・アイ・ソルはなぜ、これまで関わったことがなかった領域にチャレンジすると決めたのでしょうか。【後編】では、ADGとHILSにおける新たな取り組みについて掘り下げていきます。

イー・アイ・ソルは、ADGとHILSのどこに着目したのでしょうか。「今後、シミュレーションシステムのニーズが高まると考えた」という平澤社長は、いくつかの例を挙げて説明してくれました。

宇宙飛行士が乗り込んだロケットから、機内の映像が届いたりするのを見たことがあるでしょう。宇宙と地上との通信は、無線で行われています。例えば宇宙にいる衛星やロケットに、『何メーター動け』と指示を出したらちゃんと届いているかとか、疑似の妨害電波を送っても通信に支障がないかとか、機器を開発する際のテストで使えるシステムがあれば、低コストで開発ができるようになります

HILSでいうと、自動車の試作車を作る前にシミュレーションができれば、コストが下がるだけでなく、開発スピードが上がります

ADGについては、専任の技術者を2名アサインし、研究開発を進めてきました。「無線の計測をするために、市販の計測器を揃えようとすると、それだけで数千万円かかります。新たなソリューション開発の環境を作るだけでも、ひと苦労でした」。世界的には既にマーケットが顕在化しているHILSも、開発環境に相当な額の月額費用がかかるそうです。

それでも事業を立ち上げる理由について聞くと、「既存事業が好調のうちに次なる領域を確立させておきたかったから」。ADGは既に受注が入っており、無線に対応できる技術者を増員しているとのこと。HILSについては技術とノウハウの蓄積が必要で、技術者の学習を進めるための評価システムを構築している最中です。

HILSはドイツが先行していて、自動車業界はすでに押さえられています。ただし今あるソリューションは、導入費用も保守維持費も高額で、グローバルな自動車会社しか使えません。私たちが実現させようとしているのは、より安価で使うことができる評価システムです。コピー機や電動自転車、家電、医療機器などの試作品作りのコストを下げるソリューションで、新たな顧客を獲得できればと考えています

2つの大きなチャレンジを続けているなかで、「Outstanding Contribution Award」の受賞には驚いたという平澤社長。「インドが賞を独占すると思っていました。業界内の知名度や顧客からの信頼感を高めてくれる価値ある賞と受けとめています」。研究開発に携わった社員たちの喜びや誇りになる受賞でもあり、ソリューション開発にもポジティブな影響があるといいます。

ワーキンググループには、新しい技術を活用したソリューションにチャレンジしたいメンバーが揃っていたそうです。これまでの常識や基準にとらわれず、新たな価値を生み出していこうとするカルチャーも、イー・アイ・ソルの強みのひとつといえるでしょう。

インタビューの最後に平澤社長から「実はほかにも、ソリューション開発を進めているものがあるんです」と打ち明けられました。その話は、今までなかったサービスが世に出たときに、あらためて聞かせていただきましょう。楽しみにしています。

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