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ITトレンドレポート

何でもチャットでエンジニアのストレスが増大…? チャットコミュニケーションのストレスを減らす方法

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チャットツール・オンライン会議ツールの進化や、コロナ禍以後のテレワークの普及により、オンラインのコミュニケーションが主流になった昨今。

oricon MEが2022年に実施した調査では、69%ものビジネスパーソンが、チャットツール・Web会議ツールの導入について、導入前より「メリットが多い」と回答しました。社内外のやり取りが効率化されたり、移動にかかる時間・コストが削減されたりと、生産性の向上につながっているようです。

その一方で、社内のやり取りまでがチャットで済まされるようになったことで、「デメリットを感じる」という声も少なくありません。

「雑談が減って息が詰まる感じがある」「チャットの反応がないと不安」「できないこと、遅れていることをいわれると叱られている気分になる」「情報共有が少なく、自分の仕事以外のことがわからない」「相手の状況が見えないのでメッセージの送信を躊躇(ちゅうちょ)してしまう」「文章だけだと意思疎通や情報伝達が難しい」「頻繁な通知・やり取りの負担が大きい」など、悩みを抱えるエンジニアが増えています。

エンジニアの仕事はチームワークが基本です。どれだけ技術力があっても、周囲からの協力やサポートが得られなければ、実力を最大限に発揮することはできません。コミュニケーションに問題があると、孤立感や不安を感じたり、業務に支障が出たりしてしまう可能性もあるでしょう。

そこで今回は、チャット時代のコミュニケーションをスムーズにして、ストレスを減らすアイデアを紹介していきます。

 

最初は、情報共有がしやすくなる雰囲気づくり

まず大切なのが「こまめな情報共有」。メンバー間の連携を強化するには、個々の担当業務やプロジェクトの進捗に関する相互の情報共有の密度を高める必要があります。

テレワークでコミュニケーションがシンプルになりすぎると、細かいことをチャットできない雰囲気を感じて、作業の重複や漏れ、認識の齟齬などが発生してしまう場合があります。問題やトラブルが発生したときも、迅速に報告・対処できる関係性が築かれていなければ、対面で働いていたときより被害が拡大してしまうでしょう。

そのため「常にチャットでのコミュニケーションが活性化している状態」を維持するための仕組みづくりが重要です。雑談を通して気軽に話しかけられる雰囲気がふだんからあれば、メンバーの心理的安全性が高まります。

結果として、遠慮せずに助けを求められたり、報・連・相や質問ができたり、建設的な議論やアイデアの創出につながったりと、生産性が向上します。風通しがよくなれば、メンバーの声がマネージャーに上がりやすくなることでチャット環境のさらなる改善が実現できるなど、好循環にもつなげることが可能です。

テレワークは仕事上の「無駄」が削減されすぎて、実質的な業務時間が長くなってしまう傾向にあります。メンバーが息抜きできる時間をつくる意味でも、チャットによる雑談の文化をいかに形成するかは重要な課題といえるでしょう。

「雑談のきっかけづくり」としては、朝会・夕会など定期的なコミュニケーションの場をつくる、接点をチャットに限定せず、リアルのランチ会や勉強会、オンラインイベントを実施するといった施策が効果的です。バーチャルオフィスツールやオンライン会議ツールなどで、メンバーが常時会話できる環境を整えてもいいかもしれません。

あるいは「自発的なコミュニケーション」をチームの目標として掲げることで、メンバーの意識的な取り組みを促進するという手もあります。これに付随して、人事評価にコミュニケーションに関する新たな項目を立てるのもひとつです。

とはいえ、急に「これからは雑談をしよう」と呼びかけても、話題やきっかけがなかったり、チームに打ち解けた雰囲気がなかったりすると、躊躇してしまうメンバーも多いはず。そのためまずはリーダーが率先して発言し、気楽にチャットできる状況をつくる必要があります。

話題は、ためになるものや、面白いものでなくてもOK。むしろ天気の話や、仕事・プライベートの些細な出来事、最近触れたコンテンツ、おすすめのお店、エンジニアが共通で認識しているテーマなど、誰もがリアクションしやすい&参加しやすい内容がおすすめです。

コミュニケーションのルールを作って心理的安全性を高める

雑談を活性化させるうえでは「適切なリアクション」も必要でしょう。

発言・相談したのに反応がなかったり、いきなり否定的な言葉が返ってきたりすると、心理的安全性が低下して自由なコミュニケーションが妨げられます。特にチャットでは相手の感情が読み取りにくいため、意図とは異なる受け取り方をしてストレスを感じてしまうケースも少なくありません。

このような事態を防ぐためには、「すぐに回答できないチャットでも、まずは内容を確認した旨の返信をする」「ネガティブな表現を避ける」「反論する際は、まずはポジティブな評価をしてから」といったリアクションのルールを設けるのも一案です。

緊急度が高めかな、と感じたときには、「午後までに確認します」など、無理のない範囲で返信時間の目安も記載しておくと相手も安心できます。

優秀なエンジニアほど、成功体験に基づく自分なりの主義主張があり、能力も高いことから相手の意見にいきなり反論してしまいがちです。しかし心理的安全性の高い職場環境を実現するためには、まず受容的な態度で話を聞く姿勢を示すことが大切になります。

文面だけでは淡白な印象や冷たい印象を与えてしまう場合は、言葉づかいを少しカジュアルにして、感嘆符・絵文字も積極的に活用しましょう。リアクション機能やスタンプ機能が搭載されているチャットツールもあります。状況に応じて利用することで、感情表現豊かなメッセージになるだけでなく、文章を理解する時間の短縮や文面を考える手間の削減にもつながります。

なお、距離を縮めようとするあまり、むやみにプライベートな情報の開示を求めたり、場にそぐわない不適切な発言をしたりするのはNGです。コミュニケーション自体に不快感を生じさせてしまっては本末転倒でしょう。

相手が目上の人であれば、あまりにもフランクな文章や、絵文字の多用にも注意が必要です。逆に、部下に対してはメッセージの最後に「返信はスタンプでOKです」と付け加えてあげると、打ち解けた雰囲気をつくることが可能です。

チャットツール選びと活用法も重要なポイント

チャットのコミュニケーションが活発になりすぎることの弊害もあります。テレワークの利点として「不用意に話しかけられる機会や、周りの話し声で気が散る機会がなくなり、業務に集中できること」を挙げる人もいます。

しかし、いつでもどこでもメッセージが受け取れてしまうチャットは、ひんぱんな通知や常に即レスを求められる状況がプレッシャーになりかねません。チャットでのやり取りに気を取られすぎると、目の前の業務に集中できず、生産性が下がってしまう可能性があるでしょう。一度業務が中断されてしまうと、再び集中するまでには20〜30分ほどの時間がかかるとも言われています。

業務時間外や休日にまでメッセージが届くことで、仕事とプライベートの切り替えができないのも問題です。ひんぱんな通知による負担を減らす方法のひとつは、通知設定を自由にコントロールできるツールを選ぶこと。

さらに、あらかじめチャットでやり取りする時間帯をスケジューリングしておき、「それ以外の時間にはチャットツールを開かない」と決めます。人間が集中力を持続できるのは90分〜2時間ほどのため、業務時間中はその程度の間隔を目安にチャット確認の時間を確保すると、業務効率の低下を防げるでしょう。

同時に、業務に集中したいときや業務時間外にはレスポンスができない状態だとわかるように、ステータスを切り替えられるツールを導入するのもひとつです。

チャットにすぐに返信できる状態かどうかをメンバーが把握できれば、緊急時には電話をするなど臨機応変な対応がしやすくなります。メッセージを無視しているわけではないとわかるため、相手に余計な不安を与えずに済むのもメリット。

話しかけて問題なさそうなタイミングも可視化されるため、緊急性の高くない連絡事項も送りやすくなるでしょう。雑談を活性化させるうえでも効果を発揮するはずです。

メンバーに無駄な通知が届かないように、「グループチャットと個人チャットを使い分ける」「連投を避けて一度のメッセージに伝達事項をまとめる」といった気遣いも大切。多種多様なメッセージが乱立しているチャットは情報処理が大変なため、画面を開くだけでもメンバーのストレスになりかねません。

言葉の使い方でコミュニケーションがスムーズに

わかりにくい言い回しや情報量が多い文章も、内容を理解するために多大な時間・労力がかかります。そのためメッセージをわかりやすく簡潔にすることも、メンバーの負担軽減に効果的です。

たとえば結論を最初に伝えることで、受け手がメッセージの趣旨をすぐに把握できるでしょう。「冒頭の挨拶は不要」という運営にすると、要点が埋もれにくくなり、スムーズな情報伝達が実現可能です。

「箇条書きを使う」「重要なところをカギ括弧などで強調する」「一文を短く区切る」といった工夫も、メッセージをわかりやすくするのに有効です。

ただし文章を簡潔にしすぎるあまり、必要な情報が記載もれにならないように注意しましょう。不明点を確認するためのラリーが多くなれば、結果としてコミュニケーションコストが増えてしまいます。あるいは依頼内容の背景を省略したために、メンバー間で成果物のイメージにズレが生じてしまったり、作業に手戻りが発生してしまったりするリスクもあります。

記載もれを防ぐためには、5W1Hを念頭に置き、不足している要素がないかチェックするのがおすすめです。とくに主語(だれが)と期日(いつまでに)は、記載し忘れがちな情報。毎回欠かさずにチェックして、相手がスムーズに理解できる文章を目指しましょう。

逆に、発信者の意図がわからない部分については、掘り下げて質問するか、内容を要約したうえで間違いがないか確認して、認識の齟齬を防ぎます。「多分、大丈夫」と流さずに、ひとつひとつのメッセージについて意思疎通を図ることが、チャットでの連携力を高めるポイントです。

とはいえ、個々人のコミュニケーションの取り方は長年にわたり染みついてきたもの。客観視したり、ただちに修正したりするのはなかなか難しいかもしれません。定期的なフィードバックを実施して、チーム全体のコミュニケーションの質を高めていく工夫も必要になるでしょう。

良好なコミュニケーションになっているかを定期的にチェック

個人のコミュニケーションにとどまらず、チーム全体のチャット環境を改善するうえでも、重要になるのはPDCAサイクルです。理想的なコミュニケーションのあり方は、チームの構成員や職場環境によってさまざま。一般論やあるべき論にとらわれることなく、自社やチームにマッチした体制を試行錯誤しながら確立していく必要があります。

こまめな情報共有・雑談のための仕組みづくりや、メンバー間のやり取りのルール、ひんぱんな通知・メッセージへの対策、新しいチャットツールの導入などなど、打ち立てた施策が実際に課題解決につながっているのか、定期的にチェックの機会を設けましょう。その際には定量的な指標や管理者目線の評価だけでなく、メンバーの声を集めるなど、多角的な評価を取り入れるのがポイントです。

加えて、業務や人間関係の悩みについて相談できるように、オンライン会議ツールを活用することも大切です。雑談のきっかけづくりでも触れたように、接点を文字だけのチャットに限定せず、たびたび対面に近い形でコミュニケーションを取るようにすると、孤立感・不安の解消につながります。

緊急性が高い状況や、伝えたい内容が複雑で文章では説明が難しいときには、音声でコミュニケーションを取るのもひとつのアイデアです。チャットツールには手軽に使える音声通話機能が搭載されているサービスも多いため、シチュエーションに応じて併用しましょう。

以上、チャットコミュニケーションのストレスを減らす方法について解説してきました。

テレワークはコミュニケーションの難しさがある反面、業務を効率化でき、ワークライフバランスを取りやすい働き方です。チャットコミュニケーションを工夫すれば、生産性はもちろん、メンバーの満足度も従来のオフィスワーク以上に向上できるでしょう。テレワークのメリットを活かしつつ、心理的安全性の高い環境づくりを実現してください。

※この記事は2024年7月22日に公開した記事を再編集しています。

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