私はその日もシステムの導入を検討されるお客様に、反復学習e-learning【KOJIRO】 の機能説明をしていた。
「当社の製品はマルチデバイス対応なので、PCはもちろん、スマホやタブレットで使えます。
自宅でも移動時でも場所を選ばずに学習できると好評です!」
お客様である学習塾の先生から思ってもみなかった質問が出た。
「ふーん……でも、マルチデバイス対応って、うちの生徒たちにとって意味があるんでしょうか?」
「えっ」
質問に戸惑っていると、先生は真面目な顔で続けた。
「普段から勉強しない子たちが、場所を選ばないでどんどん勉強なんて、本当にできるんでしょうか?」
【KOJIRO】 がどこででも使えるというだけで、もう「マルチデバイス対応」=利点だと思っていた。私は明確な回答ができないまま、その日の訪問を終えた。
会社に帰ると、ちょうど【KOJIRO】 の利用者アンケートが返ってきていた。システムを導入されて一年になる個別指導塾からだ。私はワクワクしながら封を開けた。中には厳しいご意見もあるが、コメントを読むのは楽しい。
私は早速コメントを読み始め、数枚めくったところで、手をとめた。先生からのコメントだ。
・良い。勉強はすべきとわかっていてもできない子でも、
紙とペンの勉強のように構えないで空き時間に勉強出来る。
そうか。
紙とペン(鉛筆)を持って机に向かうって、確かに「構え」だ。
さらにアンケートをめくると、保護者からのコメントに目がとまった。
・リビングでまたゴロゴロしてスマホしていると思ったら、宿題をしていました。
リビングでダラっと転がって、スマホで4択問題を解く中学生の姿が浮かぶ。
ポチポチ画面をタッチして問題を解く様子からは、構えないで自然に学習に入っていることがわかる。
リビングでゴロゴロしながら宿題をやるっていうのは、本当はあんまりよくないのかもしれない。
でも、【KOJIRO】 の目的は「勉強が苦手な子どもに、勉強してもらうこと」だ。
そのためには、少しでもハードルを下げることが必要だ。
「マルチデバイスであること」と「気軽に」取り組みやすいので、ハードルが下がるのだ。
「勉強っぽくない」、「気軽に始められる」から、その後に続く ”紙の学習” にも必要な基礎力をつけられる。
だから「マルチデバイス対応」なんです。
今度はちゃんと説明できます。すみませんでした、先生。もう一度訪問させて頂いても、よろしいでしょうか?
ricoの再発見は続く……