2021年、フェイスブックが社名を「メタ(Meta)」に変更し、1兆円を超える規模の投資を約束したことで一気に注目度が上がった「メタバース」。
現在までにGoogleやAppleをはじめとするさまざまな企業が投資を開始しています。
そもそもメタバースとは、アバターを操作して楽しめるインターネット上の仮想空間と、付随するサービス・プロジェクトを指す言葉です。新型コロナウイルスの感染拡大によるライフスタイルの変化に伴い、コミュニケーション・経済活動・リモートワーク・ゲームなどが非対面・非接触で行える場として盛り上がりました。
とはいえ、過去に話題になったセカンドライフと重ね合わせ、「メタバースも一過性のブームで終わるんじゃないの?」と考えている人も多いのではないでしょうか。
セカンドライフは2003年にリンデンラボ社からリリースされ、現在も継続中。3DCGで構成された仮想世界でユーザー同士が交流をしたり、商品・サービスの売買を行ったりできるサービスです。ゲーム内で稼いだ通貨を現実の世界で換金可能であることが話題になり、日本を含む世界中でブームになりました。
全盛期である2007年ごろには、月間の新規登録者数が約40万人、バーチャル商品の取引額が1日120万ドル規模に及んでいます。
しかしサーバー環境が追いつかずアクセス制限を余儀なくされたこと、ユーザー自身が自由に空間をつくれる仕組みから過疎化が進んだこと、不正の温床と化してしまったことからブームは終息してしまいました。
ではセカンドライフと、いま話題のメタバースは、どのような違いがあるのでしょうか。
まず挙げられるのは、仮想世界を舞台にしたサービスを取り巻く環境と技術の変化です。CG技術、VRデバイス、家庭用PC、ゲーム機などがのきなみ進化しており、インターネットの高速化・低遅延化・同時接続増加をもたらす5Gの出現もサービスの浸透に寄与する可能性があります。
加えてブロックチェーン技術がもたらした「NFT」「暗号資産」によって、アート作品などのさまざまなデジタル資産や、仮想空間内で使えるアバター・アイテムなどが売買できるようになったこと、コロナ禍でユーザーの多くがバーチャルなコミュニケーションに慣れたことも追い風となっています。
たとえばEpic Games社のシューティングゲーム「フォートナイト」は、2019年に開催されたイベントで同時接続人数が1000万人を超えたと話題になりました。仮想空間ライブや映画鑑賞が楽しめるパーティロイヤルモードが搭載されており、コミュニケーションや遊びの場として人気のメタバースです。
また、2020年にはコロナ禍による巣ごもり需要の影響もあり、仮想空間でスローライフを楽しめる任天堂発のゲーム「あつまれ どうぶつの森」が、世界中で販売本数3100万本を超える大ヒットとなっています。
さらに「VRChat」「Cluster」など、VRに対応したプラットフォームも続々と誕生しました。
こういった動きを受けて、メタバースでは最先端の技術を駆使したVRのヘッドセットを利用することで没入感の高いサービスを実現。これまでにない体験ができます。
ちなみにメタ社の直近2~3年の投資額は、過去30年間にメタバースに費やされた全費用を上回るとされており、今後サービスの拡充は一気に進むでしょう。
このようにセカンドライフのブーム終息時とは一味も二味も違う最新のメタバース。もう一つの生活空間として、われわれの日常の一部になる日は近いかもしれません。