お久しぶりです。BMIや自動運転システムなどを紹介した「超未来技術編 」から1年4ヵ月ぶりとなった「5分でわかる!話題のIT系キーワード」。
今回は、ここ2年ぐらいで急に耳にすることが増えた「デジタルトランスフォーメーション」について解説します。直訳すると「デジタルへの変革」となるこの言葉が脚光を浴びた背景には、消費者の購買行動や企業の経営環境の変化があります。
スマホやタブレットの機能向上、クラウドサービスの普及、AIやIoTなどの新技術の登場などによって、ユーザーがサービスに求めるものが大きく変わりました。
多くのサービスがより安くなり、「使って終わり」ではなく使い続けながら進化していくサービスが増え、単純な機能のよさだけでなく信頼性が重視されるようになりました。
テレビ、電車の中吊りやポータルサイトに広告を出せば商品・サービスが売れる時代ではなくなり、ターゲットユーザーとの接点づくりやコミュニケーションが多様化しています。
これらの環境変化を受けて、企業は対応を迫られており、新しいデジタル技術を活用してサービス向上や生産性の改善を推進しようとするのが「デジタルトランスフォーメーション」の取り組みです。
技術的には、AIを活用した自動化やIoTが引き続き注目されており、「メインフレーム&端末」「インターネット&クライアントサーバ」の後を受けた第3のプラットフォーム(クラウド、ソーシャル、ビッグデータ、モバイル)の活用がポイントといわれています。
IDC Japan 株式会社の調査によると、第3のプラットフォームの市場規模は2017年に初めて1兆円を突破したとのこと。今後4年間は年間成長率が30%弱で推移するとみており、2022年には4兆2,580億円に拡大する見通しです。
最も成長力が高いと見られているのがクラウドで、年間平均成長率は40%超、2022年の市場は2兆8,204億円。「Google Apps」「Google App Engine」「Microsoft Azure」などの企業向けサービスがより浸透し、一般ユーザー向けのサービスもクラウド化により低価格化が進むとされています。
総務省の「平成29年度版情報通信白書」によると、世界のデータトラフィックは、2017年の1ヵ月平均109エクサバイト(=ギガバイトの1,000,000,000倍!)から、2020年には194エクサバイトに急増。ビッグデータの活用を推進する企業が増え、2022年には現在の2倍となる1兆円に届くほどの規模に膨らむ見通しです。
ソーシャルとモバイルの市場はさほど大きくはありませんが、ソーシャルは2022年までに30%UP、モバイルは20%UPと順調に推移するといわれています。
サービスや経営のあり方を変える「デジタルトランスフォーメーション」は、この先もさまざまな形で話題になると思われます。
システムエンジニアは、第3のプラットフォームに関わる技術を身につけておく、少なくとも知っておくとよいでしょう。まずは「クラウド」「ソーシャル」「ビッグデータ」「モバイル」のうちから興味のある分野の知見・経験を増やしてみてはいかがでしょうか。