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現場の取り組み

情シス野郎チラシの裏【63】 半導体不足

現場の取り組み

【情シス野郎 チラシの裏】は、「情報処理安全確保支援士」資格を持つ情シス担当が、仕事を通して得た知識や技術を、技術面に詳しくない人でも読みやすいよう「チラシの裏」に書くかのごとく書き散らす!というシリーズです。

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最近は影響も無くなって来たと言われるが、ここ数年は半導体不足というワードを耳にする機会が多かった。

半導体について、にわか勉強した俺的に説明すると、温度などの条件次第で電気を通したり通さなかったり、と変化する性質をもつ物質のことを言う(らしい)。

おれのような素人的には「In○el入ってる。」のイメージでしかないが、あれはPCのCPUであり、半導体という物質が使われている製品のほんの一例である。

半導体は我々の身の回りに存在するデジタル機器のほぼ全て、さらに家電製品の多くに使われている。電気を光に変換したり、さらに上手く活用することで前述のCPUに要求されるような複雑な制御を実現したりするなど、使われ方は多種多様である(らしい!)。

したがって半導体の供給が不足すると、我々の生活に欠かせないスマホやPC、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジなどが品薄になり、価格が高騰してしまう。

昨今聞き飽きた「物価上昇!」も、機器類については数年前に半導体不足により発生し、そのままこの1、2年の人件費や材料費の高騰に引き継がれる形で継続している、と感じている。

 

半導体を使用する製品の主な市場を、ここ数年にわたり振り返ると、ざっくり以下の状況のようだ。

・PC
既に成熟段階にあり市場規模は横ばいが続いていたが、2019年にWindows7のサポート終了に伴う買い替えでやや需要増。その後2021年頃まで、コロナ禍によるリモート需要で大幅に出荷額が増加。テレワークがニューノーマルとして根付きつつあり、コロナ禍以前よりも1段階高い需要が継続中。

・サーバ
2010年代からクラウドの普及によりデータセンター需要が増加し、右肩上がりで市場規模が拡大。半導体不足により2020年に成長がいったん止まったが、コロナ禍後半はリモート需要に引っ張られて再度成長。

・スマホ
2010年代後半には普及しきって頭打ち。市場は横ばいだったが、2020年にはサーバと同様に半導体不足とコロナ禍による外出減少で一旦需要減。しかし今後は5G切り替えによる需要増が予測されている。

・車載機器(制御装置、車体、カーナビ)
2010年代は徐々に市場が拡大していたが、2020年にコロナ禍の影響をモロに受け、車自体の出荷額が大幅に減少。その後2023年までに少しずつ2019年の規模に戻しつつあり、今後は自動運転機能に代表されるコネクテッドカーの普及に伴い大きく成長が見込まれている。

・クラウドサービス
2010年代から市場規模が激しく右肩上がりで拡大。半導体不足による影響を全く受けず、引き続き天井知らずに市場拡大中。

・サイバーセキュリティ
サイバー攻撃の活性化や複雑化に伴い、セキュリティが重要視され始めた2010年代より緩やかに市場が成長。コロナ禍以降はテレワーク環境へのセキュリティ対策なども必要となり、堅調に拡大。

半導体不足は米中貿易摩擦、それと同時期の新型コロナウイルス感染拡大による生産調整、さらには同じくコロナ禍における一部製品の急激な需要増により発生したと言われる。

しかし全体的に、半導体不足に伴い関連製品市場が一度2020年に停滞したものの、その後はスムーズに拡大傾向に戻っている。

最も大きな影響を受けた自動車産業においても2023年後半には、ほとんど影響はなくなったと言われており、冒頭に書いたように半導体不足自体が解消しつつあると言えるだろう。

コロナ禍や半導体不足が収束したことと、DXという考え方や高度なサイバーセキュリティ要求が追い風となり、AI・自動運転・5G、などの革新的な情報技術が、これから本格化に普及していくと思われる。

DXという考え方は、働き手不足という社会的な課題を例にとると、それを補うものでもあり、対抗策とも言える。脳みそに直接半導体を埋め込んでスペックアップとはいかないので、半導体を活かした製品やサービスについては、ぜひ取り入れていきたいものである。

<市場状況についての参考資料>
「令和3年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る祈願整備(電子デバイス産業及びその関連産業における市場動向及び政策動向調査)」(経済産業省)

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