※ゲーセン=ゲームセンター
その週の私のミッションは、「子ども向けeラーニングの効果音選び」。
子どもたちが喜ぶ姿を思い浮かべながら、私は音源探しに没頭していた。
<こんな音が鳴ったら、きっと楽しい!>
私は、子どもたちが聞いて笑いそうな音を選んでは、あれこれと悩み、鳴らすタイミングなどさらに試行錯誤した。
自分なりに納得した私は、部長の席におもむき、いそいそと報告した。
効果音の候補を一通り披露すると、部長は私をまっすぐ見つめ、満面の笑みでこう言った。
「ゲーセンに行ってこい。あ、もちろん自費でな」
それは、島流しならぬ「ゲーセン送り」だった。
その夜、私は早速、地元のゲームセンターに立ち寄った。
入店すると、ものすごい音に全身が包まれる。私は音の波をかき分けて、eラーニングと似ているクイズ系のゲームを探す。
キョロキョロとあたりを見渡したがなかなか見つからない。
仕方なく店員に尋ねると、親切にも地下まで案内し、遊び方まで教えてくれた。
100円玉を数枚取り出し、ゲームを始める。
キラキラと変化する画面、バラエティに富んだ設定、そして、たくさんの、音、音、音。
始めのうちは、参考資料にと他のお客さんを写さないことを条件に、店員の許可を得てケータイで写真や動画を撮っていた私も、気が付けば、すっかり一人前の「ゲーセン客」になっていた。
店内には、いつの間にか閉店時間を知らせる「蛍の光」が流れ始めている。
ポケットの中には、100円玉が数枚、名残惜しそうにしていた。
帰り道、私はまだぼんやり考えていた。
<効果音、どうしよう…>
ゲーセンへは、遊びにいったわけではないのだが、このままではただ遊んだだけになってしまう。
自宅に帰った私は、本棚からいくつかの本を取り出した。
NLP(※脚注参照)に関する本をパラパラとめくっていると、「インタイム」、「スルータイム」という言葉が目に入った。
その部分を読み返し、私は自分が「インタイム」タイプだったことを思い出した。
「インタイム」タイプは、「今、ここ」の体験、目の前のことに集中し、行動力がある。
反面、「俯瞰」が課題なのだ。
ゲーセンの様子を思い出す。項目一つひとつを紙に書き出し、テーブルの上に置いて、少し離れて眺めた。
すると、そこに共通するテーマのような、世界観のようなものがおぼろげに浮かんできた。
<細部にまでテーマが浸透していたから「世界」にどっぷり浸れたのか…>
私は、改めて俯瞰的に効果音について考え、自らの企画の方向性を取り戻した。
翌日、私は、eラーニングの“そもそもの目的”を書き出し、PCのモニターに貼り付け、その紙をチラチラと見ながら改めて音源探しを始めた。
すると、前回の探し方とは明らかに異なり、私は目移りならぬ、“耳移り”することなく、
自分の探し求めるものに「合う」か「合わない」かという基準で効果音を選び出すことができた。
選び終わった私は、部長のもとに報告に行った。
新しい効果音候補を聞き終わった部長は、特に笑顔もなく「いいんじゃないの」と一言。
私は小さくガッツポーズを作ると席に戻り、開発担当者に「効果音決定」とメールを打った。
ricoの奮闘はつづく…。
※【NLP】神経言語プログラミング:Neuro-Linguistic Programming
・インタイム タイプ:自分が「時の流れの中にいる」と感じる。目の前のことに集中しやすい。感情の動きが大きい。行動力がある。
・スルータイム タイプ:時間を流れとして把握する。出来事の順番を重視する。客観的。スケジュールを立てるのが得意。一歩を踏み出すのが苦手。
参考文献「心が思い通りになる技術: NLP:神経言語プログラミング」原田幸治 (春秋社) P284~
※2025/09/26追記
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