「証券系のシステム開発部門の責任者として、最新のサービスやシステムの情報をキャッチアップしたいという熱意と、個人的な興味の両方から、AI投資サービスを使ってみました」。【前編】に続いて、ソルクシーズの証券FinTechビジネス部の山口部長に、AI投資関連サービスの体験談を聞いていきます。
投資する株式の選択や投資配分の調整をすべておまかせする一任型から、AIのアドバイスを受けて自力で売買するタイプまで、複数のAI投資関連サービスを試しつつ、従来通り証券会社で口座を開いて、自分の判断で運用もしていたという山口部長。AI投資サービスの使い勝手について聞くと、「投資やサービスに何を求めるかによって変わってくる」といいます。
「私は自分で判断したいタイプなので、そのための情報が少ないAI投資サービスに対しては、あまり使い心地がよくないな、と感じてしまいました。会社がどんな事業をしているのか、直近の値動きはどうかなど、さまざまな情報を得ながら考えたい人にとって、AI投資サービスは物足りないかもしれません」
投資の判断や配分の調整までAIにまかせることができるAI投資サービスだと、自分がどの銘柄を持っているのかわからなくても運用できます。山口部長は、これをよしとするかどうかで考え方や評価が変わるといっています。
「たとえば、いつもいくデパ地下があって、株主優待で買い物が10%割引になるからその百貨店の株を持ち続けたい、という人にはAI投資は不要ですよね。あるいはどの株を買うか、企業をどう評価するかなどを考えたいという人にしてみれば、AIは楽しみを奪ってしまうわけです」
「ただし、株を買う際に情報が不足していたり、私情をはさんだりすると、失敗する確率が上がります。できるだけリスクを低減させて、手間をかけずに資産を増やしたいという人には、AI投資はいいサービスだと思います」
サービスを選ぶ最終的なポイントは、投資方針を信用できるかどうかだという山口部長。以前、あるサービスの利用を短期間でやめたとき、「そのサービスの良し悪しではなく、投資方針が自分に合わないと思ったから」だそうです。
「各社のサイトを見ると、『われわれはこういう観点で市場を分析し、予算に合わせて購入・調整をします』といったことが書いてあります。読んで納得し、このサービスにまかせられると思ったら、トライしてみてもいいのではないでしょうか」
いろいろ試してみて強く感じたのは、「AI投資サービスのマーケットは広がっていく」ということ。銀行に預金しても資産が増えないなかで、「情報収集や銘柄・商品選びに時間をかけられない」「専門的な知識がないので、どうしていいかわからない」といった人が続々と利用し始めるのではないかと考えているといいます。
「未経験の方にひとつだけいいたいのは、自分で考えようとAIにまかせようと、資産運用は最終的には自分の責任だということです。納得感を大事にして、無理のない範囲で始めてください」
ソルクシーズの証券FinTechビジネス部では、新たなFinTechサービスを生み出すべくエンジニアの育成を進めているそうです。
「証券関連のプロジェクトをもっと増やしていければと考えています。システム開発、DXサポート、PMO要員のアサインなど幅広いニーズに対応しておりますので、証券関連のシステムに精通したエンジニアが必要なお話があれば、ぜひお声がけください」