仮想通貨にとどまらない幅広い分野での活用が始まっている「ブロックチェーン」。
2030年には世界の市場規模が1539億ドルを超えるという予測もあり、将来性の高い技術です。日本でも、政府がブロックチェーンの普及を促進していく意向を示しています。
今回は、ブロックチェーンの最新事情と活用事例を、【前編】【後編】の2回にわたりレポート。【前編】ではブロックチェーンの強みと市場規模、活用メリットについて解説しました。
続く【後編】で紹介するのは、ブロックチェーンの具体的な活用事例です。
ブロックチェーンにより実現する「トレーサビリティ(物品の流通履歴の追跡)」や「スマートコントラクト(契約・取引の自動化)」が、ビジネス全般の変革につながることは【前編】でもお伝えしました。加えて、ブロックチェーンは業界ごとの課題・ニーズに応えるソリューションでもあります。
たとえば物流業界では、トレーサビリティによって配送時の詳細な情報を可視化することで、管理者や消費者による正確な情報管理が可能です。結果として、偽造品混入の防止、食品廃棄の原因特定、食品の保存期間予測の正確性向上などが実現できます。
自動車業界では、走行距離やセンサー・ドライブレコーダーにより収集したデータの追跡に、改ざんが困難なブロックチェーンを導入する動きがあります。蓄積されたデータは、MaaSやスマートシティの実現、自動車保険のサービス向上などに活用される見通しです。
保険業界では、スマートコントラクトにより、支払い・請求の自動化を図るブロックチェーンの活用事例も出てきました。
医療業界は、データの正確性・信頼性が非常に重要となる臨床試験にブロックチェーンを導入。データの安全性が確保されることで、負担が大きかったデータの記録やチェック業務の効率化が実現可能です。この他にも、基礎疾患・常備薬・診療結果といった医療健康情報の一元管理・共有など、ブロックチェーンを活用する取り組みが幅広く推進されています。
個人情報の管理・共有は、教育業界でもニーズのあるソリューションです。ブロックチェーンにより、学習の履歴や成績を学校・塾ではなく個人に結びつければ、情報の改ざんを防止したり、学校同士や学校と塾の間で情報共有したりすることができます。データをうまく活用できれば、教育サービスの効果向上につながるでしょう。
さらに、ブロックチェーン技術を環境問題の解決に活用する事例もあります。製品のCO2削減量を環境価値に換算したうえで、環境価値トークンを発行して外部市場に流通させるプラットフォームが出現。CO2排出権の取引を行うプラットフォームも開発されており、企業・消費者の環境意識向上に貢献しています。
もちろんブロックチェーンは、金融業界の発展を語る上でも欠かせない技術です。今後は仮想通貨だけでなく、決済システムへの導入による低コスト化・高速化や、中央に管理者が存在しない金融分散型プラットフォームなどにより、金融サービス全体の利便性が向上していくでしょう。
ソルクシーズでも、SBIグループが進めるブロックチェーン関連の各種システム構築を支援しており、金融業界を中心にブロックチェーンを活用したシステム開発が増えています。
今後も、FinTech領域の多様なブロックチェーンニーズに応えるべく、さらにサービスを拡充していく予定です。新たなトピックスがあれば、随時配信していきますので、ぜひご注目ください。