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ITエンジニアのお仕事&キャリア

やって気づいた!私のSE適性【ロジカル苦手編】

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「システムエンジニアにはコミュニケーション力が必要」とよくいわれますが、適性としてもうひとつ挙げられることが多いのが「ロジカルシンキング」です。

前回の【若干コミュ障編 】では、ソルクシーズのシステムエンジニアのみなさんに、「話がうまい=コミュニケーション力ではない」と勇気づけていただきましたが、ロジカルシンキングが苦手な人は、SEに向いていないのでしょうか。

システム開発やプログラミング、プロジェクトマネジメントなど、システムエンジニアが手がける業務の多くは、「なぜ、その方法がいいのか」「いつまでに、どのくらいやるのか」というようにロジカル かつ できるだけ数値化して考えていくのがセオリーです

ロジカルシンキングができると、課題解決や目標達成につながる最善策を導きやすくなり、より少ない時間と労力で結果を出せる確率が高まります。

クライアントに何かを提案したり、チームメンバーに指示出しやアドバイスをしたりするときも、ロジカルな伝え方はとても重要です。どんなにいいアイデアであったとしても、納得感や説得力のある説明ができなければ、なかなか相手に受け入れてもらうことはできないでしょう。

この仕事が、論理的に物事を思考することが大事なのは間違いありません。実際に、システム開発の現場では、ロジカルシンキングの得意な人材が多く活躍しています。エンジニア同士のコミュニケーションも、ロジックを重視する傾向にあり、「システムエンジニア=ロジカルシンキング」というイメージがあるのは確かです。

しかし、ロジカルシンキングが苦手だからといって「自分にシステムエンジニアは向いていない」と諦めるのは早計です。

ロジカルシンキングは性格や向き不向きとは無関係に、今からでも習得できるスキルです。

この記事では、システムエンジニアに求められるロジカルシンキングの具体的な内容や身につけるメリット、訓練方法を、現場で活躍するソルクシーズ社員の声をまじえつつ紹介します。

ロジカルシンキングは、適性ではなく習得できるスキル

ソルクシーズ社員に実施したアンケートのなかで、ロジカルシンキングについて、こんなふうにコメントしてくれたシステムエンジニアがいます。

ロジカルシンキングというのは、あくまでも技術・方法論。向き不向きじゃなくて、身につけたかどうかなんですよね。プログラミングを覚えるのと同じように、できるようになってしまえばいいんです。そんなに難しいことではありません

なるほど。いわれてみれば、そんな気がします。

とはいえ、人の話をそのまま鵜呑みにしないのもロジカルシンキングの大事な心構えのひとつです。ありがたい言葉に流されることなく、客観的な情報をもう少し集めてみましょう。辞書やWikipediaでロジカルシンキングの意味を調べてみると、こう書いてあります。

■ロジカルシンキング
論理的な考え方と、その技法。(小学館「デジタル大辞泉」)
一貫していて筋が通っている考え方、あるいは説明の仕方のことである(Wikipedia)

ここでも「技法」「仕方」という言葉が出てきました。ロジカルシンキングを方法論として捉えてみると、その具体的なやり方さえ学べば、スキルとして習得できそうな気がしてきます。

そういえば、「ロジカルシンキングの方法」を教える書籍や研修プログラムも多数あります。これらを踏まえると、ロジカルシンキングが「後天的に身につけられる技術・方法論」であることは、どうやら間違いなさそうです。

得意・苦手は適性の問題ではなく、あくまでも習熟度の話であり、誰でもできるようになるといわれれば、苦手と思っている方でもやってみようという気になるのではないでしょうか。

ロジカルシンキングを身につけるメリット

ロジカルシンキングを使ってできることは、大きく分けると2種類で、「適切な問題解決」「建設的なコミュニケーション」です。ひとたび身につければ、仕事の状況やさまざまな情報を客観的に分析できるようになります。

そのため「現状の原因や課題が把握できる」「主観・バイアスに流されにくくなる」「自分なりの仮説を立ててすぐに行動に移せる」といったメリットが得られ、スムーズな問題解決につながりやすくなるでしょう。

システム開発の領域では、たとえばクライアントからヒアリングした状況・課題・要望に基づき、最適なシステムを提案する際にロジカルシンキングが役立ちます。また構築するシステムの仕様書・設計書の作成も、矛盾や漏れがない整合性の高いものになりやすく、サービスの質の向上を実現できます。

コミュニケーションを円滑化するうえでもロジカルシンキングは重要です。例えばミーティングや議論では、思ったことを主張したり、相手の意見に賛成・反対したりするだけでなく、それぞれの理由・論拠を述べなければいけません。

論理的な思考ができていると、理由を説明できなかったり、言葉に詰まったりすることがなくなります。結果としてチームの建設的な議論に貢献でき、社内の評価も高まりやすくなるはずです。

さらに、ロジカルシンキングを経た説明は要点や論拠がすっきり整理されているため、多くの人がスムーズに理解しやすく説得力がある、という特徴があります。

システムエンジニアであれば、プロジェクトのメンバーはもちろん、専門知識のないお客様にもわかりやすい情報伝達が可能になります。コミュニケーションの停滞や認識のズレ、お客様の不満・不安が発生しにくく、業務も円滑に進められるでしょう。

相手の話を理解する際にも、ロジカルシンキングは有効です。相手の話が複雑で伝わりにくい場合でも、内容を整理して「こういうことでしょうか?」と確認すれば、お客様から「私たちの課題やニーズをきちんと把握してもらえている」と信頼されるのではないでしょうか。

このように、ビジネスマンやシステムエンジニアにとって大きな武器になるロジカルシンキング。社会人になってからでも身につけられるスキルなので、学ばない手はありません。

「でも、実際にやってみると難しいんでしょう?」という声が聞こえてきそうですが、安心してください。ロジカルシンキングにはいくつかのパターンがあり、それを身につければ、誰でもすぐにでも使いこなせるようになります。

SEがロジカルシンキングを身につけるためには?

ロジカルシンキングを効率的に身につけるなら、まずは論理的な思考の型を知るのがおすすめです。ロジカルシンキングの代表的な思考法として、「演繹法」と「帰納法」が挙げられます。

「演繹法」は自分なりの仮説や一般論を状況に当てはめて、物事を推察する方法。「帰納法」は具体的な事象・データなどの事実に基づき、結論を推察する方法です。

これだけではピンとこないという人のために、例を挙げましょう。「ロジカルシンキングをどのように学習するか」の意思決定をするというテーマについて考えてみます。

学習者が自身の経験則から「新しいことを学ぶなら本を読むのが一番」と考え、ロジカルシンキングに関する本を購入するとしたら、これは「演繹法」に基づく思考といえます。

対して、ロジカルシンキングが得意な数人の知人に確認した結果、80%以上がオンライン講座を受講していたとわかり、「自分もオンライン講座に参加しよう」と意思決定するなら、これは「帰納法」です。

演繹法のメリットは、手元に事象・データがなくても仮説・一般論をベースにスピーディーな意思決定ができること。ただし前提となる説が間違っている場合や、解決したい問題に当てはまらないときは、誤った結論を導き出してしまう可能性もあります。

対して帰納法は、正しい推察をするために相応の情報収集が必要になるため、演繹法に比べて手間や時間がかかります。それでも事実に基づいて考察していくので、妥当性が高い結論を導きやすいのが特徴です。

ここで大事なのは、どちらの思考法を使う場合にも最終的にめざすのは「結論」と「論拠」がセットになった状態であることです。

論拠とは「◯◯だからこうすべき」という形で表せる理由や根拠のことです。先の例でいえば、「新しいことを学ぶなら本を読むのが一番だから」「80%以上の人がオンライン講座でロジカルシンキングを学んでいるから」などと表現できる部分が論拠となります。

「論理的」というのは、この論拠と結論がセットになっている状態です。「演繹法」と「帰納法」はどちらも、セットになる論拠と結論を導き出して論理的な意思決定をするためのアプローチなのです。

前提となる情報にモレやダブりがない状態を指す「MECE」も、ロジカルシンキングに役立つ概念です。いくつかの論拠から結論を導こうとするとき、その論拠に偏りがあったり、重要な要素が抜け落ちていたりすると、誤った結論になってしまう可能性が高まります。そのような状態を防ぐために、ロジカルシンキングではMECEであることを求められるケースがあります。

情報がMECEかどうか、どのような情報が重複・不足しているかを把握する方法としては、「ロジックツリー」「ビジネスフレームワーク」などが代表的です。

ロジックツリー」は幹から太い枝が、太い枝から細い枝が分岐していくように、各要素をより細かい下位の要素に細分化していくことで情報の構造を可視化させていきます。

テーマの全体像を把握するのはもちろん、直面している問題を引き起こしている複数の原因を考えたり、ひとつの結論を支持する複数の論拠を揃えたりするなど、ロジカルシンキングの過程で使うこともあります。

ビジネスフレームワーク」は、ビジネス関連のさまざまな情報を分析するときに着目すべき要素が網羅されたツールです。

たとえば「3C分析」は、市場を顧客・自社・競合という3つの要素にわけることで市場における自社の強み・弱みを把握するフレームワークです。このほかにも、マーケティング戦略の立案に活用できる「4P分析」、業界の競争環境を明確にする「5フォース分析」、ビジネスのマクロ環境を評価する「PEST分析」などが挙げられます。

ロジカルシンキングをサポートする考え方やツールは多様で、それらの考え方を理解すると、論理的に思考する際の視点の追加に役立つでしょう。

ロジカルシンキングの実践例に触れるなら、読書の習慣をつけるのもおすすめです。特に論文や学術書、評論・批評、社説、オピニオン雑誌など、論理的に組み立てられた文章を読むようにすると自身の思考やアウトプットに活かせます。

とはいえ、どれだけロジカルシンキング自体に詳しくなっても実際に使いこなせなければ意味がありません。仕事で活用するためには、普段から「結論と論拠」を意識して物事を考える習慣をつけることも大切です。

例えばミーティングに参加するとき、必ず意見を発信するように心がけるだけでも、ロジカルシンキングのトレーニングになります。わかりやすく説得力のある発言をするために、話をロジカルに組み立てる必要があるというだけでなく、論拠が不十分だったり曖昧だったりしたとき、参加者からすぐに指摘をもらえるのもメリットといえます。

「上司・先輩が参加しているミーティングで発言するのはハードルが高い」という人は、同僚や友人・家族と議論する場を作ってみるのもいいでしょう。

ビジネスシーンに限らず、日常生活のなかにもロジカルシンキングを実践できる場面は少なくありません。「AとBのどちらかの商品の購入を決断する」「やろうと思ったことができなかった理由を考える」「ニュースから自分なりの見解を導き出す」など、さまざまな場面でロジカルシンキングを鍛えることができます。

慣れないうちは、箇条書きにしたり図に起こしてみたりと、思考の過程を可視化させるのも効果的です。考えていることを整理できるだけでなく、アウトプットの準備にもなります。

ロジカルは大事だけど、ロジカルばかりが仕事じゃない

ここまでロジカルシンキングの重要性や訓練方法について解説してきましたが、「ロジカルに考えることばかりが仕事じゃない」というシステムエンジニアもいます。ソルクシーズのとある社員の言葉を紹介しましょう。

お客様やユーザーの真のニーズを探り当てるためには観察力や洞察力が必要で、ニーズに応えられる企画を組み立てる際には、複数の可能性を思い描く発想力が大事になってきます。

これらの力は、元々の適性よりも経験によって磨かれるウエイトが高いと思います。アイデアが豊富に浮かぶタイプではないという方でも、顧客志向で仕事に取り組んでいるうちに、いい提案ができるシステムエンジニアになれるのではないでしょうか

システムエンジニアに必須といわれるロジカルシンキングは、学んで身につけることができるものであるとともに、すべてにおいて使える万能なツールでもないということですね。

向き・不向きや得意・苦手という物差しに縛られすぎずに、「おもしろそう」「本気でがんばれそう」と感じた人は、システムエンジニアをめざせばいいのではないか、そしてそういう人こそうまくいくのではないかと思うのであります!

ロジカルではない感情あふれるまとめとなってしまい、大変恐縮です。

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※この記事は2017年10月10日に公開した記事を再編集しています

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