ICTコンサルティング企業のガートナーが発表した「2019年以降におけるITトレンド」のトップ10。【前編】ではAI関連のトレンドを紹介しましたが、後編はネット利用や企業の変化に関するお話です。
「SNSのスキャンダルが、長期的な影響を及ぼすことはなくなる」「現在のネット広告がなくなる」といった衝撃的な見出しが並ぶネット利用に関するトレンドから見ていきましょう。4つの予測をまとめてどうぞ。
「全組織の25%が、従業員に対してインターネットにおけるハラスメント防止の合意書への署名を求めるが、そのうちの70%は失敗する」
「パブリック・ブロックチェーンの75%が、2021年までにプライバシー・ポイズニングの被害を受ける」
「2021年までには、SNSで生じたスキャンダルやセキュリティ侵害が利用者に長期的な影響を与えることはなくなっていく」
「eプライバシー規制によってCookieの使用が制限され、2023年には現在のようなインターネット広告はなくなる」
何のことやらよくわからないという方もいるでしょう。平たくいうと、それぞれこういうことです。
「“ネットいじめをしません”という合意書にサインさせるだけでは、いじめはなくならない」
「ネットサービスにおいてプライバシー管理をきちんとできない企業の多くが、個人情報流出の被害に遭う」
「SNSが個人情報漏洩などのトラブルを起こしたとしても、それによる被害は限定的で代わりのサービスもないため、何事もなかったように使われ続ける」
「EUやアメリカで、Cookieの利用を個人に承諾させるルールが厳格になり、今までどおりにインターネット広告を配信することが難しくなる可能性が高い」。
ネットいじめのデメリットを従業員に理解させるなど、企業の組織文化の変革やセキュリティ強化を推進しなければならないと提言しており、セキュリティ人材のニーズはさらに高まっていくものと思われます。
最後に、IT技術やサービスの進化に伴う企業の変化に関するトレンドをチェックしましょう。
「ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容性)を備えた組織文化を持つ企業の75%は、財務目標を上回る成果を出す」
「クラウドの経済性・柔軟性を活用して、プロダクトで収益を挙げることがデジタル化推進のキーポイントとなる」
「“ゲートキーパー(門番)”の地位を担うデジタルの巨大企業は、 業界平均40%の世界市場シェアを獲得する」
いずれも「2022年までのトレンド」とのこと。
Google、Apple、Facebook、Amazon、Baidu、Alibaba、Tencentといった「巨大な門番たち」とうまく取引しなければ、世界的なデジタル企業になることはできず、クラウドサービスが成長していく流れは変わらないということですね。
グローバルに展開する多国籍サービスが増えるなかで、ダイバーシティがより重要になっていくという指摘は、「ガラパゴス」「閉鎖的」といわれるようになった日本の企業にとっては大きな課題となりそうです。
3~4年後とは思えないシナリオばかりが語られていますが、東京オリンピックが終わった後、われわれの社会はどう変わっていくのでしょうか。楽しみでもあり、ちょっと怖くもあり…。