平成28年賃金構造基本統計調査によると、システムエンジニアの平均年収は約530万円※。従業員1000人以上の大企業では賞与額が高いため607万円と高水準ですが、99人以下の会社となると平均461万円に下がります。
(※企業規模10人以上の企業の所定内給与ベースに賞与を加算)
調査報告のような硬い始まり方になってしまいましたが、最初に「システムエンジニアとして年収1000万円をめざすのは、結構大変」ということを言っておきたかったからです。
とはいえ、世の中には年収1000万円を超えるシステムエンジニアも存在しているわけです。彼らはどんな人たちなのでしょうか。
大きく分けると、3つのタイプがあります。「給与水準が高い大企業の社内SE」「収益の高いサービスを手掛ける会社のマネジメント層」「技術力・提案力が高いシステムエンジニア」。最近は、エージェントサービスなどを通じて常駐型の仕事を引き受けるフリーランスのシステムエンジニアも増えているようです。
3つのなかで、今後は減っていくと思われるのが大企業の社内SEです。彼らの多くは、年功序列の給与システムが残っているなかで長く勤めて収入を上げているのですが、このような会社は減り続けています。
逆に最も有望なのは、「技術力・提案力が高いシステムエンジニア」。経済産業省が昨年発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2020年にはシステムエンジニアが最大36万9000人不足となり、2030年には不足人数が最大約79万人に膨れ上がる見通しです。
なかでも足りないのは、従来の技術を活かして請け負った仕事を形にする一般的なシステムエンジニアではなく、価値が高い技術を持つ人材と、新しい価値を生み出す提案ができる人材です。
例えば最近注目されている技術でいえば、AIやIoT、fintech、VRなど新しいサービスが生み出される可能性が高い領域。また、収益性の高いWebサービスを構築できる技術は根強いニーズがあり、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどクラウドサービス関連の技術も重宝されます。
ただし、これらの技術があるというだけでは、年収1000万円というラインには届かないかもしれません。「経営の視点、事業運営観点、収益性をふまえた企画を提案できる力」が加われば、相当評価は上がるはずです。
従来なかったサービスを世に出せるだけでなく、GitHubなどのプログラム開発を効率化するサービスを活用して、組織の生産性を高めるといった施策が必要になることもあるでしょう。
※GitHub:分散型でプログラムソースのバージョン管理をするシステム(Git)を利用した「開発者を支援するWebサービス」。
「先端技術の習得なんて、忙しいから無理」と諦めてしまいそうになる方もいるかもしれませんが、技術力を評価されているシステムエンジニアが日頃どんなことをやっているかを聞くと、特別なことをやっているわけではなかったりします。
「自分が持っている技術の関連・周辺技術をしっかり押さえておく」「新しい技術とそれを活用したサービスについて情報収集」「勉強会などに参加して、他業界や先端技術などの動きをキャッチアップしておく」等。
積極的に取りにいかないと技術習得はままならないことを、新人時代に痛感した方も多いのではないでしょうか。エンジニア不足の時代ですので、日本の技術者の給与水準はアメリカのように上がるかもしれません。変化はチャンスです。
この記事を書いている私は年収1000万など夢のまた夢ですが、志だけは高く持って、お互いがんばりましょう!