DXで日本のビジネスをサポート|ソルクシーズ公認ブログ

ITトレンドレポート

通信エリア拡大、低コスト、多接続… 次世代通信「6G」は5Gとココが違う!

ITトレンドレポート

「6G」を含む「新世代の移動通信」システムである「Beyond 5G」は、いま世界中で研究開発が進んでいます。日本でも2030年の実用化をめざして総務省が研究開発を推進。日本企業が通信インフラの国際競争力を確保するために、世界シェアを30%に引き上げる目標を掲げ、開発支援を行っています。

この記事では、次世代通信「6G」の特徴について、日本における1Gからの変化のプロセスをふまえつつ紹介していきます。

1979年に音声通話のみ対応だった1Gで始まった移動通信システムは、1993年の2Gからeメールの送受信に加えて、インターネットへの接続が可能になりました。同時に送受信機器の小型化が実現し、携帯電話の利用が本格化されています。

2001年にスタートした3Gでは通信が飛躍的に高速化し、メールに画像添付ができるようになりました。音楽サービスの増加などにも寄与しており、携帯電話の海外利用が可能になったのもこの時期です。

2015年から国内サービスが開始した4Gは、通信速度が最大1Gbpsに上昇。動画・ゲームなどの大容量データが送受信できるようになり、スマートフォンの普及にも一役買いました。

2020年からサービスがはじまった5Gの特徴は超高速・超同時接続・超低遅延です。家電や車・センサーなどをインターネットに接続するIoTに注目が集まり、人々の暮らしを豊かにするイノベーションの創出につながっています。2022年度末には、日本全国で5Gの人口カバー率が95%を突破しました。

IoTをはじめとするテクノロジーの発展や、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活スタイルの変化により、ICTインフラの需要が急速に拡大。このまま通信トラフィックが増加すると、5Gではすべてのデータを処理しきれなくなる未来が待ち受けています。

このような状況下で、研究開発のスピードが加速しているのが6Gです。

6Gの進化は、100Gpbs超の「高速」かつ「大容量」「低遅延」の通信や、同時接続数の増加といった5G技術の延長にとどまりません。

総務省はさまざまな社会課題を解決する6Gの技術コンセプトとして、「通信カバレッジの拡張性」「超安全・信頼性」「超低消費電力」「自律性」という4つの新要素を公開しています。

「通信カバレッジの拡張性」で目指すのは、サービスエリアの拡大。陸だけでなく海・空・宇宙などへエリアを拡大し、あらゆる場所での通信が可能になります。

「超安全・信頼性」は通信の「信頼性」に焦点を当てたコンセプトです。5Gから1桁増の「信頼度99.99999%」を達成することで、社会基盤を支えるサービスの安全性向上を実現します。

「超低消費電力」は、デバイスやネットワーク運用の消費電力・コストを100分の1に減らし、サステナブルな社会を形成する試みです。最後の「自律性」は、AIを活用して人手を介さない機器・ネットワークの運用をめざすコンセプトです。

6Gは今後、産業・社会活動の重要なインフラになることが見込まれています。

総務省は、6Gの実現が期待される2030年代の社会ビジョンとして「強靱で活力のある社会」を提唱。具体的な社会像として「誰もが活躍できる社会」「持続的に成長する社会」「安心して活動できる社会」の3つを掲げました。

たとえば6Gの「通信カバレッジの拡張性」は、都市部と地方の地理的な格差解消をもたらすでしょう。総務省の「デジタル田園都市国家構想」でも、地方のデジタル化・成長産業創出・交通物流確保・エネルギー地産地消などをめざしています。

「超高速通信」「超低遅延」「超安全・信頼性」などの特徴は、IoT・AI・アバターロボットといった技術の発展にも寄与。自動運転・スマートファクトリー・遠隔介護・遠隔手術の実用化が、深刻化する人手不足を解決します。

医療領域では、AI・IoTを活用して医療をデジタル化する「IIoMT(Intelligent Internet of Medical Things)」にも注目が集まっています。診断・治療・ヘルスケアなどをオンラインで完結できる未来が予測されており、社会寿命の延伸や、高齢化社会のさまざまな問題の解決につながるかもしれません。

VR/ARも、6Gにより進化が期待される技術です。

サイバー空間の体験がよりリアルになれば、ゲームや映像コンテンツ・スポーツ観戦などに、実際にその場にいるような没入感がもたらされるでしょう。テレワークでの共同作業やコミュニケーションも、より円滑になるはずです。遠隔地にいる人の姿がリアルな3Dホログラム映像として投影できるようになるなど、コミュニケーションの形も多様化されます。

さらに、サイバー空間でさまざまなシミュレーションが実施できるようになれば、渋滞のない交通網や、無駄のない食品供給など社会システムの最適化が進みます。災害の観測・予測や、有事の際にも途絶えない通信インフラなど、防災・減災への貢献も少なくありません。

このように社会に大きなインパクトをもたらす6G。実用化は6年後とされていますが、現在提供されているサービスの今後の展開に大きな影響を及ぼすテクノロジーなので、ぜひアンテナを張って最新動向をチェックしてみてください。

タイトルとURLをコピーしました