SIerの将来性に注目するシステムエンジニアと志望者に向けて、【前編】【後編】の2回にわたりSIerの強みを紹介します。
【前編】では「優秀な人材とノウハウの保有」「専門領域における知見」「自社開発の展開が可能」という3つの注目ポイントを紹介しました。【後編】でも引き続き、SIerの強みをレポートしていきます。
【後編】で最初に挙げるのは、分散したシステムへの対応です。
ビジネスの規模が拡大すると、システムにかかる負荷が大きくなり、集中型のシステムでは動作が重くなったりトラブルに見舞われたりする可能性が高まります。システムトラブルによるビジネスチャンスの棄損や改修コストの増大は、企業にとっては由々しき問題です。
昨今は、ビッグデータ、モバイル活用、IoTなどの導入に伴って、膨大な量のデータ処理が必要となるサービスが増加しています。
システムの負担軽減やトラブルによるリスクの分散を図るためには、統合制御された複数のシステムを導入してプロセスごとの処理を割り振るスケールアウトが必要です。
しかし複数のシステムを導入すると、運用やセキュリティの管理が複雑になり、担当者の手間が増えたり、人員のコストがかかったり、新たなシステム監視の仕組みが必要になったりとさまざまな問題が発生します。
そんななかで、ITインフラの整備を全面的にサポートできるSIerのニーズは、規模が大きくクラウドへの移行も困難な官公庁・金融機関・大企業などの領域を中心に、今後も継続していくでしょう。
加えて現在は、AI、クラウド、SaaSなどさまざまな技術が進化。企業が競争力を維持するために担うべき業務は、ますます複雑化しています。
いくつかの新技術を統合的に活用する際に、連携面でのトラブルが発生するケースも少なくありません。また、新たなシステムを導入するたびにセキュリティ対策の方法を短いサイクルで刷新していく必要があり、適切な運用管理を継続する負荷も高まります。
このような状況に対応していくためには、これまで以上に幅広い知識・スキルをインプットしなければなりません。とはいえ、さまざまな事業を推進しなければならない企業が、急速に進化するIT関連の情報を随時把握するのは限界があるでしょう。
その点SIerは、IT人材を育成するノウハウがあり、蓄積されている幅広い知識・技術の提供者としてポジションを確立することができます。
こういった強みがあるため、今後もSIerの市場は拡大していく可能性が高いといえます。
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