業界・領域ごとのさまざまな技術と、IoT、クラウド、ブロックチェーン、AI、VRといった最先端のITテクノロジーを融合して新たな価値・仕組みを創出する「X-Tech(クロステック)」。
既に幅広い分野に浸透しつつあり、領域の名称と組み合わせた「〇〇Tech」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。しかし、「どんな〇〇Techを知ってる?」と聞かれると、とっさには出てこないかもしれません。
今回は【前編】【後編】の2回にわたり、「X-Tech」の領域と具体的な事例を解説していきます。
「X-Tech」を語るうえで基本となるのは、「どんなビジネス領域のテクノロジーなのか」です。
たとえば「Mar Tech(マーテック)」は、デジタルプラットフォームやマーケティングオートメーションツールなどを活用して、顧客に関するデータを取得・分析。マーケティングの最適化をめざします。
とくに広告(Advertisement)分野のソリューションは「Ad Tech(アドテック)」と呼ばれ、インターネット広告を活用することでターゲット層へのピンポイントな訴求や、効果の詳細な分析を可能にします。
またSFAやCRMなどのツールを駆使して、営業活動の効率化・生産性向上を実現する「Sales Tech(セールステック)」も「Mar Tech」の一種といえるでしょう。
そのほかに、採用・勤怠管理・給与計算・人事評価といった人事に関連する業務をサポートする「HR Tech(エイチアールテック)」、バックオフィス業務を効率化する「BO Tech(ビーオーテック)」、セルフレジや在庫管理システムを小売業に活用する「Retail Tech」、工場をIT化する「Factory Tech」などがビジネス領域の「X-tech」として挙げられます。
「Food Tech(フードテック)」は農業・漁業人口の減少、フードロス問題、飢餓問題といった「食」に関する課題をテクノロジーで解決しようとするもの。植物由来の肉の開発など、環境に優しい食品開発もこの領域に含まれます。
とくに農業領域のテクノロジーは「Agri Tech(アグリテック)」と呼ばれ、IoT、ビッグデータ、ドローンなどの導入によって、労働者の負担と経費の削減や、効率的な農業の推進を実現するソリューションです。
次に紹介する「Ed Tech(エドテック)」は、学校・資格スクール・トレーニングジム・企業における人材育成などの幅広い教育領域をテクノロジーで支援。学習効果の向上と業務の効率化による教師の負担軽減を図ります。
たとえばオンライン授業、AI技術による学習管理、VR技術を駆使した体験学習の実現などが「EdTech」の事例として挙げられるでしょう。
SDGsの普及に伴い注目されている「Clean Tech(クリーンテック)」は、再生可能エネルギーの利用や開発、資源の利用削減といった環境問題解決をめざす技術です。
なかでもエネルギー領域のテクノロジーである「Energy Tech(エネルギーテック)」には、20兆円もの市場規模があり、法人と電力小売の事業者とのマッチングサービスなどが展開されています。
「Auto Tech(オートテック)」は、自動車関連の技術とITテクノロジーの融合です。自動運転の研究開発を推進するとともに、車載データを活用するサービスを開発し、安全性と利便性の向上を実現。最近は、車載データをベースに保険料やタイヤリース料を算出する技術も登場しています。
【後編】でも引き続き、「X-Tech」の領域と事例について解説していきます。ぜひ、そちらもチェックしてください。