2020年11月、ソルクシーズは日本で「ANTstein SQUARE」を販売するSBI AntWorks Asia株式会社との販売契約を締結しました。
「ANTstein SQUARE」は、多様なビジネスプロセスを自動化する統合オートメーションプラットフォーム。2019年に公開されたサービスで、従来のRPAと比べると、小規模のデータでより複雑性が高い業務プロセスを自動化できるのが特徴です。
ソルクシーズが共同販売に合意したのは、証券業界を中心とする顧客に対して、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入をサポートするビジネスを強化しようとしているからです。
fintech、IoT、CASE、AI、クラウドといった技術を活用したソリューション提供を推進するなかで、従来のRPAとは違うアプローチで業務自動化を実現できる「ANTstein SQUARE」は、競合他社のサービスとの差別化につながります。
ソルクシーズの長尾社長は、このたびの販売契約について、こう語っています。「業務自動化に関するコンサルティングからロボット開発、導入後の保守サポートまで一貫して請け負う体制が整い、RPA業界における競争優位性を獲得することができた」。
ここでいう競合優位性には、2つの方向があります。
ひとつは、ソルクシーズの主力事業であるシステムインテグレーションとコンサルティングにおける付加価値。もうひとつは、デジタルトランスフォーメーションのニーズに応える新たなサービスの構築です。
「ANTstein SQUARE」の販売契約締結の2カ月後、2021年1月には組織改編が行われています。
これまでの証券保険事業部が証券事業部となり、証券保険SI部は「証券ソリューションビジネス部」「証券FinTechビジネス部」と名付けられた2つの組織に変更。証券業界をターゲットとするこれらの組織とは別に、「FinTech事業本部」が新設されています。
それぞれの組織が本格始動するのはこれからですが、今後の展開として考えられるのは、以下のような戦略です。証券ソリューションビジネス部が既存顧客を中心に付加価値を高めたサービスを提供し、証券FinTechビジネス部はデジタルトランスフォーメーションを成功に導く新たなサービスを開発。
従来からRPA技術を提供していた製造業や通信キャリア業界に対しては、FinTech事業本部が独自性と低コストが魅力のソリューションを拡販していくのでしょう。
fintech、IoT、CASE、AI、クラウドといった技術は、SIビジネスのみならず、ストックビジネスの展開においてもより重要になっていくはず。これらの技術をベースに、顧客に多様な価値を提案できるプロジェクトマネージャーやシステムエンジニアの採用も強化していく予定です。
新たな価値を世に送り出そうとしているソルクシーズグループに、今後とも注目してください。