コロナウイルスによるパンデミックの影響で、さまざまな業界が売上ダウンや研究開発の中断を余儀なくされるなかで、自動運転の技術革新を巡る世界的な競争は着実に前に進んでいます。
自動運転システムの進化について理解するためには、米国の非営利団体SAE(Society of Automotive Engineers)が掲げる1~5のレベルを知っておいたほうがいいでしょう。
レベル1は、運転支援と呼ばれるレベル。自動ブレーキ、前車追従走行、車線逸脱防止などの機能でドライビングをサポートします。
レベル2は部分的な自動運転で、ステアリング操作と加速・減速のアシストが入ります。
ドライバーは通常運転からは解放されますが、何かあった際には対応しなければならず、「運転の主体はあくまでも人間で、コンピュータが特定の機能を代行」という状態です。
現在は、多くのメーカーが、レベル2のクルマを開発・製造中です。既に販売しているのは、日産、フォルクスワーゲン、SUBARU、アウディなど。
2020年10月に開催されたユーロNCAPの先進運転支援システムテストでは、ドイツから参加したメルセデス、アウディ、BMWの3社が、ルノー、プジョー、日産、テスラ、ボルボ、フォード、フォルクスワーゲンを上回る高評価を得ています。
レベル3以降が、いわゆる「自動運転」です。
レベル3は、高速道路などの特定な場所に限ってコンピュータがステアリング、アクセルを複合的に操作。ドライバーの操作は不要となりますが、システムからオーダーがあった際には対応しなければなりません。
レベル4は、都市部などでシステムが自動運転できるレベル。トラブル対応も任せられるので、ドライバーが寝ていても目的地に辿り着きます。
レベル5は完全自動運転で、クルマに不可欠だったハンドルやアクセル、ブレーキがなくなり、従来とは全く異なるデザインのドリームカーが開発されるといわれています。
自動運転システム開発の最先端を走るアメリカのテスラ社は、「オートパイロット」というレベル2の機能から、「Full Self-Driving」と名付けられたレベル3のシステムにステップアップしようとしている最中です。
年末には、レベル5の基本機能を実現させるとしており、並行して無人ロボットタクシーの開発も進められています。
日本では、2020年4月1日に「道路交通法」と「道路運送車両法」が改正され、公道において「レベル3」の自動運転が解禁になりました。
ホンダは年内にレベル3の自動運転車を発売すると公言しており、法整備が遅れているドイツよりも先に実用化する可能性が高まっています。
自動運転車が導入され、安全性が確立されれば、交通事故は激減するはずです。興味がある方は、主要メーカーの動向をチェックしてみてください。