日本でたった6名のIBMチャンピオン、株式会社ソルクシーズの吉田武司さんのキャリアを紹介する「システムエンジニア(SE)として働くということ」。
無我夢中編 に続く第2弾は、30代後半の挫折とその後の復活を語っていただいた【領域拡大編】です。
「システムエンジニアとして、どうあればいいのだろう」と自問自答しつつも、目の前の仕事をがむしゃらにこなしていた吉田さんは、チームリーダーとして活躍した後、めざす方向が見えなくなります。
「明確な原因があったわけではないのですが、やるべきことしかできず、仕事量が減った時期がありました」。20代の頃は仕事が好きで、わからないことをそのままにしたくないと思って自分なりに勉強していたのが、30代の半ばを過ぎると心身ともに疲れを感じるようになり、新しいことを吸収する時間が減ってしまいました。
「ソフトウェア開発の世界で、20年もトップランナーとして走り続けるのは無理なんですよね。技術者としては下り坂に入った感があって、体調を崩したりしたこともありました」
システムエンジニアとして必要な情報や知識が入ってこなくなると、仕事においても新しいものを創る話が来なくなります。「今まで培ってきた知識とノウハウで食いつないでいる状態。新人が来るから席移って、といわれたときはさすがにまずいと思いました(笑)」。
昔みたいに情熱を注げるようになりたいと気持ちを切り替え、とっかかりとしたのが勉強の再開でした。ただ学ぶだけでなく、ブログ を立ち上げて研究したことや作ったものを発信し始めたので、それがIBMチャンピオンに推薦してもらえるきっかけにもなりました。
新たなつながりもでき、ようやく前に進めると感じたのは40歳になってからでした。
「あくまでもNotesのスペシャリストであるということが自分のベースになるキャリアです。ただし、今までは開発やプログラミングを手がけていたのですが、サーバ構築やインフラ関連の仕事もするようになりました」
IBMチャンピオンという称号を得て、自分の価値やポジションを再認識した吉田さんは、20代の頃とは別な形で仕事の領域を拡大し始めます。
「やりたいことが見えてきたら、加速し始めて止まらなくなりました」。
最近は、自然言語処理と機械学習を利用した拡張知能「IBM Watson」に関する知識を活かした実験的なサービス開発も手がけています。「システムエンジニア(SE)として働くということ」最終回は、【新規開発編】をお送りいたします。