2017年の「IBMチャンピオン」に日本人6名のうちのひとりとして選ばれた、株式会社ソルクシーズの吉田武司さん。仕事観やキャリアステップについて聞いた「システムエンジニア(SE)として働くということ」は、これで最終回です。
20代から30代の前半にかけて、試行錯誤しながら新しいプロジェクトと向き合っていた【無我夢中編】、30代半ばからの挫折と復活のきっかけを聞いた【領域拡大編】に続く今回は、最近手がけるようになった取り組みと若いシステムエンジニアへのアドバイスを紹介する【新規開発編】です。
開発やプログラミングのスぺシャリストから始まり、サーバ構築やインフラまわりに手を広げていた吉田さんが新しいサービスの試作に着手することになったきっかけは社内SNSでした。
「社内のSNSで、Fleekdrive というファイル管理・共有サービスのマニュアルを整備したいので意見がほしいという投稿がありました。ひとりのユーザーとして、あらためてマニュアルをチェックしてみると、探しづらいところがあったんですね。
なので、マニュアルのデータを利用し、チャットボット※ と『IBM Watson』※ を結びつけてQA的なツールを作ってみよう、と思って1週間ほどで開発してみました。“見たいマニュアルがピンポイントで探し出せてよさそう”って感想をもらいました」
※チャットボット:テキストや音声で自動的に会話するプログラム
※IBM Watson:自然言語処理と機械学習を使った拡張知能
ここから、さらに新サービス試作開発への興味は「Watson Workspace から会議室を予約するシステム」などへ広がり、さまざまな形で実験的なサービス開発に取り組んでいます。
「画面を切り替えることなく予約ができる」「会話しながら日程調整ができる」と、ユーザー目線で開発の成果を自身のブログ でレポートしています。
「自分のブログで発信することでネットワークが広がり、IBMチャンピオンとしての実績としても評価してもらえます」。自宅にサーバ環境を用意しているそうで、「もはや趣味みたいなものです」と笑う吉田さんは、ようやく若い頃のように「仕事が好きだ」といえる自分を取り戻したようです。
「ソルクシーズはいい会社だと思います。チャレンジする機会があって、いいアウトプットをするとちゃんと認めてくれます。体調を崩したときに気にかけてくれたことや、IBMチャンピオンとして自由に活動させていただいていることを感謝しています」。
最後に、若いシステムエンジニアへのメッセージをお願いすると、「新しいことを吸収し続けてほしい」「英語は絶対にやっておいたほうがいい」という言葉に続けて「無理にがんばらなくていいからね」と吉田さんらしい言葉が返ってきました。
情熱を注げる仕事を自ら見つけること、常に学習し続けること、着手した仕事にきちんと答えを出すことの大事さに、あらためて気づかされるインタビューでした。