2000年代の後半から世界的な競技大会が開催されるようになったeスポーツは、近年になって急速にマーケットが拡大しています。2025年7月にサウジアラビアのリヤドで開催される「Esports World Cup 2025」は、7週間で24のタイトルを争う史上最大規模の大会で、賞金総額は7000万ドル(約101億円/2025年6月30日現在)という巨大な額となっています。
アメリカなど先進国に遅れを取っているといわれていた日本のマーケットも、コロナ渦以降は急成長を遂げています。一般社団法人日本 e スポーツ連合が2025年3月に発行した「日本eスポーツ白書2024」によると、2023年の市場規模は前年比117%の約146億8500万円。2025年には200億円に迫る見通しです。
eスポーツの人気が高まっていくなかで、ソルクシーズのグループ企業である株式会社eekが設立されたのは2022年7月でした。「eスポーツを通じて社会の活性化に貢献する」というミッションを掲げ、企業や自治体向けのeスポーツ活用コンサルティング、eスポーツアスリートのエージェンシー(代理人)サービス、eスポーツ業界特化の人材マッチングサービスを展開する会社です。
「エージェンシー事業も職業紹介も徐々に伸びているのですが、ここ1~2年は自治体からのご相談が増えています」。eekの山上敏哉社長は、地域活性化を推進する地方都市の注目度の高まりを感じているそうです。これまでもeekは、さまざまな形で自治体に対するコンサルティングやイベントプロデュースを行ってきました。
「最初の取り組みは2023年で、岡山県真庭市の教員や企業の方々が主催する『鼓山塾』で高校生向けのeスポーツ特別講義を実施しました。昨年の4月には、北海道苫小牧市でeスポーツイベントを共催しています」
苫小牧では初めての試みとなる『eスポーツイベントin苫小牧 シーズン0(ゼロ)』は、若い世代の交流促進と地域活性化を実現するイベントとして開催されました。世界的に有名なプロゲーマーNEMO(ネモ)選手と地元で活躍するあでりい選手の対戦や、ストリートファイター6のコーチング、e-sports体験コーナーなどが行われ、大盛況だったといいます。
「イベントを提案する前に、いろいろヒアリングさせていただくうちに見えてきたのは、自治体のみなさんのニーズでした。『他の自治体がどんなことをやっているのか知りたい』『何をやればいいのかわからない』といった声が多く、eekが提供するソリューションの価値がより明確になったと感じられる貴重な場でした」
苫小牧の事例は、「わかりやすく使い勝手がいいサービスが必要」と考えた山上社長が立ち上げた「自治体向け e スポーツパッケージ」の最初の取り組みでもあります。eスポーツのインフラ構築、イベント運営、プロゲーマーによるコーチング企画など、自治体が抱える課題やニーズに応じて最適なソリューションを提供するパッケージです。
【後編】では、「自治体向け e スポーツパッケージ」の具体的な内容と実現できること、eekの今後の展開について山上社長に語ってもらいます。「地元の若年層が参画する場を作りたい」「高齢者の健康増進に寄与する施策を考えたい」という自治体や企業のご担当者は、引き続きご一読ください。
データ参照:
「Esports World Cup」公式サイト(英語版)https://esportsworldcup.com/en
日本eスポーツ白書2024/角川アスキー総合研究https://jesu.or.jp/contents/news/news-250331/