コロナウイルスの感染拡大以降、IT業界を取り巻く環境は、どのように変わったのか?ソルクシーズグループはどんな取り組みに注力しようとしているのか?
自動車業界を中心に、製造業に対して組込み系ソフトウェア開発のコンサルティングを手がけるエクスモーション も、新しいサービスの導入を進めている企業のひとつです。渡辺博之社長に、これまでの課題と新たな取り組みについて語ってもらいました。
「多くの企業がシステムの開発を続けているうちに、さまざまな問題を抱えるようになります。そんななかで、代わりに作ってあげます という会社はいっぱいあるんですけど、一緒に問題を解決しましょう という会社はあまりないんですね。
私たちは、お客様の困りごとを解決できるのが強みです。今までは、お客様からお声かけをいただいてコンサルティングするスタイルでした」
2019年11月期まで、順調に売上を伸ばしていたエクスモーションは、コロナ禍の影響で踊り場を迎えることになりました。
「自動車の生産中止や縮小が相次ぎ、予算を削減せざるをえなくなるお客様がいたんです。向こうから声をかけてもらうビジネスだけでは弱いなと感じるようになりました」。渡辺社長がめざしたのは、「攻めのコンサル」です。
「今までは、顕在化した課題への対応が多かったのですが、ロングタームでプロジェクトを設計し、先手を打って課題発見、予防策提案というスタイルへの転換を進めてきたのです。こうすることで、お客様の短期的な事情に影響を受けづらくなりました」
営業専門職を採用して既存顧客への提案を強化するとともに、新規顧客の開拓を推進しています。
「コンサルティングは費用がかかるので、大企業向けだったのですが、日本の99%を占める中小企業向けサービスの開発を推進しました」。
デジタルトランスフォーメーションは中小企業からという言葉があるように、ソフトウェア制作の問題を抱えている会社は少なくありません。
Webを活用したサービスを開始して、現場で問題を抱える個々のエンジニアへのアプローチにもトライしています。
新たに立ち上げたコンテンツ提供型サービスの名前は、「ユーリカボックス 」。コンサルティングで培ったノウハウを素材として提供し、独力で解決してもらうサービスです。「知る人ぞ知る隠れ家レストランが、テイクアウトサービスを始めたみたいな感覚です」。
「サブスクタイプのサービスを、中小企業がどこまで活用してくれるかは未知数です。コンテンツが充実して会員数が増えたら、広告配信という新たな展開も視野に入ってきます。
組込み系エンジニアたちが感じている課題やニーズが把握できるので、新規開拓営業や既存のコンサルティングに還元できる要素もあるのではないかと期待しています」
自動運転の導入など、大きな変革の波が押し寄せている自動車業界をはじめ、ものづくりの世界は変化が求められています。2021年は、模索の1年と位置づけながらも「エクスモーションにとって、この環境は追い風ですね」と渡辺社長は語ってくれました。
ソフトウェア開発の“技術参謀”が展開する新たなサービスに注目しましょう。