■「フロー」と「ストック」とは?
ソーシャルネットワークと聞くとTwitter や Facebook のように活発に情報交換され、情報が流れていく(フロー)イメージが強いですが、ブログのように情報を蓄積(ストック)していくものもあります。
ソーシャルネットワークツールを企業のコラボレーションツールとして使用する場合には、フローの「最新情報を素早く拡散、収集できる利点」とストックの「過去の資産を再活用し易い利点」を上手く使い分けて、情報交換に利用していく必要があります。
■「つながり」の違い
情報交換をする人々の結びつきを表すのに、「ソーシャルグラフ」と「インタレストグラフ」という考え方があります。「ソーシャルグラフ」は、人と人とのつながりのことです。
「インタレストグラフ」は、共通の関心ごとを介したつながりです。一般的には、趣味や趣向、興味や関心、主義を共通項としたつながりです。ビジネスの中では、職種やプロジェクト、商品や技術でつながった関係になるでしょう。
「フローとストック」・「ソーシャルグラフとインタレストグラフ」の組み合わせによって、
扱われる情報やツールが違ってきます。
下図はおおまかな分類です。
今までのツールは、ストック&インタレストグラフ(上図の左下)の情報を扱うものが多かったと感じます。しかし、今後はそれぞれの組み合わせに有効なツールを使い分けていく能力が要求されてくるでしょう。
■社内導入の注意点
例をご紹介します。
ある社員のふとしたつぶやき(上図の右上)に目をつけた他の社員が、そのつぶやきを全社員が見ることができるアイデア投稿ページ(上図の左上)にシェアした結果、そこで多くの意見が集まりました。その結果、商品化や既存商品のデザインに影響を与えた、ということがあったそうです。
上の例のようにいつも上手くいくとは限りません。日本人は、公共の場で自分の意見をはっきりと述べるのは苦手です。コラボレーションツールを使って、全社員が見ている場で発言するのは「どうしても躊躇してしまう」というひともいるでしょう。
日本でコラボレーションツールを普及させるには、日常の業務を絡めて情報の提供・活性化へと自然に誘導するのがよいと思います。
例えば、日報のように毎日入力する情報を活用してみる方法があります。知らせたい情報があれば“発信チェック“を付けるだけで済むような仕組みを用意しておけば、情報発信への敷居も下がるのではないでしょうか。
普段は自分の記録としての日報ですが、「○○顧客訪問」「評価」「要求」というキーワードや競合企業名、特定の製品・サービス名が入力されていたら、自動的に関係者へ発信されるような仕組みを用意するのもよいですね。
一度、社内の情報やツールを「フローとストック」・「ソーシャルグラフとインタレストグラフ」に分類し、自社の中で不足している部分がないかを考えてみてはいかがでしょうか?
次回は、「モバイル活用」について話をしたいと思います。