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現場の取り組み

情シス野郎チラシの裏【67】 新札発行2

現場の取り組み

【情シス野郎 チラシの裏】は、「情報処理安全確保支援士」資格を持つ情シス担当が、仕事を通して得た知識や技術を、技術面に詳しくない人でも読みやすいよう「チラシの裏」に書くかのごとく書き散らす!というシリーズです。

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さて今回は今年7月の新札発行の大きな目的でもある偽造防止について、現物を見ながら書き散らかせて頂くとする。ぜひお手元にある新札を取り出して、一緒に確認していただけるとより楽しんでいただけるかと思う。

まずは旧札から継続されている「深凹版印刷方式」。
この印刷方式により、図柄部分を触るとほんのりとざらざらする。特に金額部分は強めにざらざらするようになっている。まだ人の手に触れた回数が少ないからか、旧札よりも新札の方が強めにざらざら感を感じる。

次に「高精細すき入れ」。これは新機能である。
中央の丸い枠を光に透かすと肖像が浮かび上がるのは誰でも知っているが、その周りの空きスペースに旧札には無かった細かい模様も合わせて浮かび上がるようになった。

「3Dホログラム」はぱっと見で一番目立つ変更点であり新機能だ。
旧札では五千円札と一万円札にのみ存在したホログラムが千円札にも追加され、従来は金額が書かれていただけだったが肖像のホログラムが追加された。このホログラムの肖像はお札を見る角度に合わせて向きが変わるため面白い。

「潜像模様」と呼ばれる技術は、お札を傾けて初めて浮かびあがる模様に採用されている。
一万円札と五千円札には表と裏の両方に、千円札は裏面のみ使用されており、お札を水平に傾けていくと、ある角度で数字や文字が浮かび上がる。例えば一万円札の表面の場合、30度くらいに傾けた時に、中央下部の枠内に10000という数字がギリ見える。

また老眼がスタートしたおれの目では細かすぎて確認出来なかったが、NIPPONGINKOという超微細な文字が数か所に印刷されている(らしい)。これは「マイクロ文字」と呼ばれる技術である。

他にもお札の両端余白がややピンク色の光沢がかるパールインキ、紫外線を当てると発行する特殊インキなどは旧札からの継続となる。

元々日本の旧紙幣はスイスフランやカナダドルと並んで最も偽造が難しいと言われており、世界最高水準の偽造防止技術が施されていた。新紙幣になったことでさらにその信頼度は上がることになる。

キャッシュレスが進んだ国では、その背景として偽造による紙幣の信用度低下とその対策の困難性が一つの要因があったと見られている。逆に、日本においてキャッシュレスが遅れた理由の一つには、偽造防止技術が優れていることによる紙幣の安全性が関係しているだろう。

確かにスマホ一つで決済出来るキャッシュレスは非常に便利であり、日本においても欠かせないものとなりつつある。しかし、例えば今後発生することが予想される南海トラフの大地震、サイバー攻撃、様々な理由で通信インフラが正常に機能しなくなった場合、スマホ決済やクレジットカード決済が使えなくなる可能性が低いとは言えない。

そういった事態において現金が必要とされる場面は今後も必ず残っていくし、そういった時にこそ紙幣の安全性が問われることになる。

おれのような老眼おじさんには見えない細かい文字にも、角度によってそっぽを向くビックリマンシールのようなホログラムにも、そういう意味があるのである。

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