IoTを活用した状態監視や予知保全システムの構築を強みとするイー・アイ・ソルと、創立147年の伝統校、お茶の水女子大学。一見、接点がなさそうな組み合わせですが、実は昨年からイー・アイ・ソルはお茶の水女子大学の人材育成プログラムに協力しているのです。
昨年の11月、『イー・アイ・ソルが一般競争入札に参加し、落札』と報じられたのは、「ゲームチェンジにより『クリエイティブ生活産業DX』をけん引する女性アントレプレナーの育成」と銘打った大学改革推進等補助金プログラム。DX教育設備を導入した新たなプログラムは、産業界との連携によって高度なデジタル専門人材を育成することを目的としています。
DXを推進する企業が求める人材の育成に、なぜイー・アイ・ソルが?・・・落札するに至った経緯と自社の取り組みについて、平澤社長に聞いてみました。
「DXといっても、さまざまな領域がありますが、例えば注目されているAIやディープラーニングを活用する際には、適切なデータを揃えられなければ出てくる結果が意味のないものになってしまいます。お茶の水女子大様の取り組みを知って、データを計測して集めるという領域ならお手伝いできそうと考え、入札に参加しました」
イー・アイ・ソルが提案したデータ計測の教材用システムは高い評価を受け、全5回の授業の教材として採用されました。音や振動、電流のデータを計測できるシステムに加えて、データを取得するためのラジコンカーも制作。昨年の12月から全5回で開講された授業は、概論からプログラミング実習、センサーによるデータ計測と収集までが組み込まれた実践的なプログラムです。
「IoTの基礎を学ぶ5回目は、実験住宅にセンサーやマイクを設置して、学校内で計測と監視をするという本格的な内容です。IoT、クラウド、エッジコンピューティングについて理解してもらうためのシステムを用意しました。イー・アイ・ソルが掲げている“全ては計測から”を体感できる場ともいえるでしょう」
補助金が出るスキームとはいえ、相当な工数が必要となるシステム構築をなぜ請け負ったのでしょうか。
「DX人材が少ないといわれているなかで、この業界にいる者として、IoTやエッジコンピューティングに興味を持ってくれる人を少しでも増やしたい、という思いがありました。女子大の理系学部のプログラムだったのも、引き受けた理由のひとつです。男性が多い業界に、女性が活躍する場が増えるのは意義のあることだと思いました」
システム構築や講義を担当した社員にとっても、学びがあったという平澤社長。コストがかかるため、チャンスがなければなかなかできない今回の取り組みは、大学、学部、学生、企業といったすべての関係者にとって貴重な場だったといえるでしょう。
構築した教材用システムは、来年以降も学生のみなさんに使ってもらえるよう、大学に残されているそうです。「うれしいですね。今回の経験をきっかけに、今後も機会をあればDX人材・デジタル人材の育成に関わっていきたいと考えています」というコメントでインタビューを締めくくった平澤社長でした。