ブロックチェーン、AI、IoTなどが話題になったのが、遠い昔のように感じられます。毎年、新たな概念、テクノロジー、サービスが続々と登場するIT業界。ニュースサイトをマメにチェックしている方でも、わからない言葉に出会うことが多いのではないでしょうか。
そんななかで、話題の技術やサービスは、ひととおり押さえておきたいというシステムエンジニアに向けて、「5分でわかるITトレンド2020」と題したシリーズを4回に分けてお届けします。
第1回は「金融編」。
最初のトピックスは、「スーパーアプリ」です。中国の「WeChat」「Alipay」、シンガポールからは「Grab」、インドネシアでは「Go-Jek」が出てきており、わが日本の代表は「LINE」「メルカリ」です。
スーパーアプリとは何ぞや?という問いに答えるとすれば、「SNS、メッセージ機能、決済や送金、飛行機、ホテル、タクシー、フードデリバリーなどの予約、ショッピングなど、日常的に利用する幅広いサービスをすべて利用できるアプリ」となります。
2019年11月に、Yahoo!との経営統合を発表したLINEは、キャッシュレス決済においてトップシェアを誇るPayPay とLINE Payの利用を促進することになり、メルカリはOrigami Payを子会社化したメルペイを伸ばそうとしています。
中国や東南アジアのスーパーアプリもキャッシュレス決済システムと連携しており、Uberがアジアのビジネスモデルを踏襲しようとしている状況です。
イギリスの交通関連サービス「Splyt」は、世界中のスーパーアプリと連携を図っており、マーケットの取り合いは世界規模に広がろうとしています。
「スーパーアプリ=キャッシュレス決済企業の代理戦争」という図式のなかで、再度注目されているのが「fintech」。
HRテック、ヘルステックなど、さまざまな業界・領域特化のIT技術を総称する「x-tech」のなかでは、いわば老舗ですが、クレジットカード、交通系のICカード、QRコード、スマホ決済、9月スタートのマイナポイントなどが統合に向かうといわれており、金融に特化した技術の進化が求められています。
加えて、2020年に動く可能性があるといわれているのが、日本銀行が検討を始めている「中央銀行発行デジタル通貨(CBCD)」です。
中央銀行が発行する銀行券のデジタル化は、中国やスウェーデンをはじめ30ヵ国以上で研究されており、調査を実施した英国のメディア「Central Banking」によると、70%がDTL(Distributed Ledger Technology)といわれる分散型台帳技術の利用を検討しているそうです。
急速に技術革新が進みそうな金融業界ですが、日本のサービスはどのような進化を遂げるのでしょうか。今年生まれた子どもたちにとっては、「お札(さつ)」は歴史の授業で学ぶものになるのかもしれません。
「5分でわかるITトレンド2020」、次回のテーマは「xR(いわゆる現実)」です。