「業界・領域特化のサービスに関する専門性が高い」「ハイレベルの技術者が揃うチームで対応してもらえる」…IT人材の不足が叫ばれるなかで、SIerの価値が見直されています。
とはいえ、SIerといってもさまざま。事業領域、得意分野と直接取引の有無、技術者のレベルなどによって、仕事内容もその後に構築できるキャリアも変わってきます。
今回は、自分に合うSIerの見分け方を、【前編】【後編】の2回にわたり解説。【前編】では、「SIerの4つのタイプ」を踏まえつつ、「上流工程からの案件が多い」「自社サービスを展開している」「専門領域がある」といったSIerの見極めポイントを紹介しました。
【後編】では引き続き、重要度の高い見極めポイントを解説します。また、受託開発と自社開発の両輪でサービスを展開する「ソルクシーズグループ」の現状も紹介しますので、、「先端IT人材として成長したい」「将来性・成長性のあるSIerで働きたい」という人はぜひ最後までご覧ください。
SIerの見極め方 ④特定の業界に強みがある
【前編】でも述べたように、現在はあらゆる業界・企業でDX推進の重要性が高まっている反面、優秀なIT人材は不足しており、実績豊富で技術力のあるSIerのニーズ上昇につながっています。
特に重宝されるのが、特定の業界やサービスの課題・業務に関する知見とノウハウがある企業です。現在は業界を問わずDX化・デジタル化の波が来ており、業界に特化したサービスを提供できるSIerには高い需要があります。
なかでも金融業界・官公庁などは、「大規模なシステムが必要とされる」「セキュリティに関する要求レベルが高い」「システム運用の対応範囲が広い」といった理由から、システムをクラウドに移行するのが難しい領域です。
必然的に、セキュリティレベルが高いオンプレミスのシステム開発や、システムに関するニーズをふまえた運用が必要となるため、依然としてSIerのニーズが高い領域です。信頼感が重視される領域で、受注するとプロジェクトが中長期化することも珍しくありません。
また製造業生産ラインもDX化が進んでおり、将来性のある市場といえるでしょう。IoT・AI・クラウドコンピューティングといった先端IT技術の需要が高く、技術力のあるSIerが求められます。
業界共通の課題や制約・ワークフローなどに精通しているSIerは、クライアントの意向に沿った提案やソリューションを実現できるのが強みです。内部事情に通じているがゆえに、かゆいところに手が届くサービスを自社開発して展開するケースも少なくありません。
さらに、SIerによってはシステム開発にとどまらず、専門性を活かしてクライアントにコンサルティングを提供するケースもあります。コンサルティングは、経営課題の発見や課題解決のための方針決定など、クライアントのビジネス全体をサポートするサービスです。利益率が高いため、社員への還元率も大きいビジネスモデルといえるでしょう。
このような専門性・実用性の高いソリューションを提供できるSIerは、業界・企業の信頼を得やすく、リピーターや新規案件が集中しやすい傾向にあります。結果として、得意分野がないSIerは、上流工程から携わるのがますます難しくなっているのが実情です。
そのため、SIerを見極めるうえで「どのような業界・業種のシステム開発に強みがあるのか」「どれくらいの実績や案件を獲得しているのか」「経営・ビジネスプロセスの改善に対応しているか」といった点はあらかじめしっかりとチェックしておきましょう。
得意分野が複数の業界にまたがっているSIerであれば、各業界の動向の変化にも影響を受けづらく、安定的に経営を維持できる可能性は高いといえます。
得意分野がある企業に在籍するエンジニアにとっても、さまざまな業界・業種のシステム開発を経験することで、汎用性・専門性の高いスキルの獲得が可能。この点では、親会社の制約を受けるメーカー系・ユーザー系よりも、幅広い業界・企業に携わる独立系SIerの方が、経験できる受託業務の幅は広いといえるかもしれません。
SIerの見極め方 ⑤年収が高いか
これらの特徴に加えて、「平均年収」なども企業を見分けるときの重要な指標になるでしょう。クラウドやAI、IoTなどニーズが高まっている領域のプロジェクトが少ないSIerや、下請けの案件が多い会社は利益率が上がらず、従業員の年収も低くなりがちです。
もちろん「年収が高ければ良いSIer」とは一概にはいえません。しかし「経営状況に余裕があるか」「社員を大切にしている会社か」を見極めるひとつの基準にはなりえます。
企業の平均年収は、投資家向けの有価証券報告書(IR情報)や、就職四季報などで確認することが可能です。
SIerの見極め方 ⑥働き方の改革を進めているか
平均年収が高いSIerのなかには、従業員の労働時間が過度に長く、その分の賃金が増えているという企業もゼロではありません。そのような企業は残業時間が長かったり、休日出勤が常態化していたりと、労働環境が厳しい場合もあります。
ほかにも「人員が少ないために一人ひとりの業務の負担が大きい」「有給が取得できない」など、労働環境に課題を抱えているSIerは依然として存在します。社内の士気が低いために「会社や業務上の問題を改善しないままスルーしている」「上司・同僚とコミュニケーションが取りづらい」など、カルチャー面で働きにくさを感じる場合もあるでしょう。
SIerを見分けるうえでは、労働環境の改善や生産性の向上に具体的に取り組んでいるかどうかも、尺度のひとつです。
働きやすい環境の会社を探すときに大事な視点は、「どの会社も同じようなものだから⋯⋯」と労働環境に目をつぶらないこと。昔は「徹夜続き」「休日返上」といった武勇伝が語られていたIT業界も、サービスフローの見直し、技術者のレベルアップ、テレワークの導入などによって働き方改革を推進する会社が増えています。
今や「SIer=過酷な労働環境」ではなくなりつつあります。平均年収が高いうえに、残業が少なく有給休暇を取得できる会社。テレワーク・リモートワークを活用しながら自由度が高い働き方を実現できる会社も存在します。
就職・転職を考える際には、企業のカルチャーや制度にも着目しましょう。社員の満足度を知るうえでは、離職率や平均勤続年数、福利厚生などを確認しておくといいでしょう。たとえば離職率が30%を超える企業であれば、社員の入れ替わりはかなり激しい会社といえます。オンライン上の口コミも参考にはなるものの、企業の体制は数年で変わることも珍しくありません。できるだけ新しい情報から判断するのがおすすめです。
SIerの見極め方 ⑦エンジニアの学習環境が整っているか
働き方改革が進んでいる会社の多くは、学習環境の充実度も高めています。
たとえば未経験採用を行っているSIerは、優秀なシステムエンジニアを育てるためのOJTや新人研修が整っている会社が多いという傾向があります。資格・スキルの獲得をサポートしている会社、学習プログラムの導入や人事制度の整備によってキャリアアップを後押ししている会社も、いわゆる「ブラック企業」である可能性は低いといえます。
どれだけ幅広い案件を受注しているSIerでも、エンジニア一人ひとりが現場で経験できる業界・領域・業務内容には限界があります。その点、多様なプログラミング言語や技術領域・ポータブルスキルについて学べる体制が整っていれば、身につけたい知識・スキルを柔軟に学ぶことが可能です。
なかには社員のキャリアプラン構築を支援するなど、より積極的に社員の成長を後押ししている会社もあります。そのようなSIerに就業すれば、IT業界全体の動向を踏まえつつ、目標とするエンジニア像をめざすことができるでしょう。
SIerにとって、人材育成はいまや重要な投資のひとつです。国内のIT人材が不足している現在、社内でプロジェクトマネージャーやシステムエンジニアを育てることができるか否かは、企業の将来を考えるうえで重要なポイントです。
成長のチャンスが多い企業は、それだけ社員の定着率も高く、生産性が高いプロジェクト運営を実現できています。結果として優秀なIT人材が集まりやすく、さらに競争力が高まるという好循環が形成できます。
システムエンジニアとして望むキャリアを築くためには、事業領域の多様性・将来性に加えて、労働環境や人事制度についてもしっかりチェックするようにしましょう。
ソルクシーズは幅広い領域・業界に携わる独立系SIerです
さて、ここからは、ソルクシーズグループの現状について紹介します。
「DXで日本のビジネスを導く」というメッセージを掲げるソルクシーズについて、あらためて特徴を言葉にすると、「DX・クラウド・AI・IoT・FinTech・CASEといった最先端の技術を活用し、金融・官公庁・製造業・自動車業界などのお客様に多様なソリューションを提供する独立系SIer」となります。
事業領域は、「ソフトウェア開発事業」「コンサルティング事業」「ソリューション事業」。システムインテグレーションと自社サービスを軸としたストックビジネス、コンサルティングなど顧客課題解決の3つの軸で安定的な経営基盤を実現している企業です。
ソフトウェア開発事業では、金融・官公庁関連の大型案件をはじめとして、DX需要を着実に取り込むことで業績を伸ばしています。システムの企画立案から、開発、テスト、運用保守までをワンストップで行うプロジェクトが多く、上流工程からの案件も豊富です。
コンサルティング事業は、自動車業界を中心とする大手メーカーの組込みソフトウェア開発の開発サポート、キャッシュレス化、eスポーツへの参入と活用など、ニーズが高まっている領域に対応。現在は学習コンテンツや生成AIを用いたサービス開発にも注力しています。
ソリューション事業の主力は、オンラインストレージ「Fleekdrive」、イー・アイ・ソルが提供する工場やオフィスなどの「予知保全システム」、ノイマンの自動車教習所向けソリューションなどのストックビジネス。3つの事業のなかで最も成長しており、海外展開も視野に入れて新たな領域を開拓しようとしています。
現在はさらなる成長をめざして採用を強化しており、新卒の社員と経験者はもちろん、学習意欲のあるシステム開発未経験者も歓迎。文系・理系を問わず、リーダーシップ・自発性・顧客志向・コミュニケーション能力など、ヒューマンスキルを重視した採用を推進中です。
採用をシステム開発や自社サービス開発の経験者に限定せず、教育体制を充実させています。社内向けのeラーニングシステム「Solxyz Academy」をベースとした研修プログラムなど、新人からベテランまで、幅広いエンジニアのニーズに対応した学習環境が整っています。
社員の希望・適性に可能な限り沿った人員配置や、ビジネスコンテストの開催など、新たな領域にチャレンジする機会も豊富です。マネージャー・リーダー候補とシステムエンジニアのスキルアップをサポートしています。
働きやすいカルチャー・環境も会社の自慢です。ソルクシーズではかねてから「残業時間の削減」「多様な勤務形態への対応」「快適なオフィスの整備」「福利厚生の充実」などに注力してきました。現在もこれらの改善を進めており、エンジニアが集中して仕事に取り組める環境を追求しています。
安定性・成長性の高い経営と働き方改革が功を奏したことで、社員の平均勤続年数は14.9年と高い水準をキープしています。「おもしろい仕事ができそうなIT企業で働きたい」「成長できる環境でチャレンジしたい」「新たなサービス開発に関わりたい」「最新の技術や開発ノウハウを習得したい」という方は、ぜひソルクシーズの採用情報をチェックしてください。
※グループ企業の事業について興味を持たれた方は、「グループ企業」ページに各社リンクがありますので、それぞれご確認ください。
※この記事は2024年4月30日に公開した記事を再編集しています。