最近話題のIT用語について、意味・定義から最新トピックスまでを紹介する新シリーズ。第1回は「GPU」です。
この3文字を見た瞬間、「CPUなら知ってる!」と思った方が多いのではないでしょうか。パソコンやサーバーに内蔵され,、制御や演算を行うCPUは「Central Processing Unit」の略ですが、GPUの「G」はグラフィックス(Grafics)の頭文字です。
パソコンやサーバー内で3Dグラフィックスを表示させるための計算処理を実施するプロセッサで、1990年代後半にアメリカの半導体メーカーであるエヌヴィデアが開発・販売した仕組みです。
GPUの特徴をわかりやすく紹介するために、CPUと比較してみましょう。
CPUは、OS、キーボード、マウス、メモリー、各種プログラムなどコンピュータ全体の複雑な連続計算処理を得意としているのに対して、GPUは単純な並列計算を高速で行えるのが最大の特徴です。
3Dグラフィックスを多用したゲーム機には専用のGPUが搭載されており、同時並行で変化していく映像を流すのに使われています。
誕生から20年を経たGPUが、最近になって再び脚光を浴びているのは、仮想通貨の「マイニング」や、AIにおける機械学習機能「ディープ・ラーニング」にうってつけだからです。
グラフィックス描写のために開発された膨大な情報を高速で処理する力が、ビッグデータを大量に処理する必要があるマイニングや機械学習の仕組みに適していたというわけです。
GPUは、リアルタイムのグラフィックスのデータ処理のために開発されたプロセッサでしたが、発展形としてGPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)があります。
高速並列計算というGPUの特徴を活かしつつ、画像処理に留まらないさまざまな用途で使えることをめざしたのがGPGPUで、機械学習に加えて音声処理、天体や気候などのシミュレーション、暗号解読、市場分析などにおいてデータ処理の高速化を実現してくれるのです。
テーマによっては、CPUの10倍~100倍のスピードで計算処理ができるGPUは、スピード以外にも大きなメリットがあります。
小規模、低コスト、低電力。サービス開発や研究にディープランニングを活用する企業・機関の多くがGPUサーバーを導入しており、効率よく目的を果たすためのインフラを整備しています。
地球の温暖化や砂漠化について現状把握と分析を行っているNASAや、自動運転システムの開発を進める自動車業界、決済システムの不正チェック、グラフィックスを駆使したIoTデバイスなどにもGPUが使われており、AI領域の開発環境にはなくてはならないものとなっています。
AIを活用した商品・サービスに携わりたいシステムエンジニアにとっては、GPUに関する知識・ノウハウは必須といえるでしょう。