ソルクシーズグループの社員が手がけた本気のものづくりに迫る「開発ストーリー」。第2回は、高齢者見守り支援システム「いまイルモ」に携わったBさんのお話を紹介します。
「いまイルモ」は、見守られる人のプライバシーを尊重し、普段の生活をじゃますることなく安否を把握できるサービス。そのシステムの構築で最もこだわったのは「データの信頼性」と「ツールの使いやすさ」でした。
在室確認や部屋の温度、湿度、明るさがわかる高機能センサーは、常に正確なデータを取得できるかどうかが最大のポイント。開発するにあたり、さまざまな価格帯のセンサーを買い込んで使ってみると、やはり安価で簡易なものは信頼性に不安があることがわかりました。
「データを確実に取得できないと、利用していただいている方々を不安にさせてしまいます。ネットワーク接続に失敗した場合にリトライの処理を組み込んだり、一定期間その状況が続く場合には、その旨をお知らせする「未接続通知」機能をつけたり、データの信頼性確保のために相当パワーを割きました」
使いやすさの向上については、「いまイルモ」がリリースされた後もユーザーの声に耳を傾けながら継続的に取り組んでいます。
初期のバージョンは、メールを送信する「お知らせボタン」を押しやすくしていたのですが、利用者から「軽く触れただけでも押されてしまう」という声が聞こえてきました。これを受けて、強めに押さないと作動しないボタンに変更。
コード接続部が横にあったため「ACアダプターが場所を取る」という課題に対しては、接続位置を下に変えたうえで、接続部分のゴム素材などを見直し、設置した際にコードが重力で抜けてしまわないような工夫もしています。
「お客様の住まいのレイアウトによって、設置の仕方はさまざまなので、ひとつひとつの声を聞き逃さないようにしています。利用状況に合わせて細かいバージョンアップを重ねてきたので、相当使いやすくなったのではないでしょうか」
当初、個人宅の見守りを想定して開発された「いまイルモ」は、介護施設などでもご活用いただくようになり、新しいニーズが見えてきました。多くの部屋を見守る必要があるため、複数のセンサーデータを一括で管理できるシステムを構築したり、圧力を感知する「離床センサー」と接続することで、ベッドに寝ているのかどうかまで把握できるようになりました。
さらにこの5月には、NECプラットフォームズのオープンプラットフォームPaPeRo(PaPeRo i)と連携して、見守り支援ロボット「いまイルモPaPeRo i」をリリース。
薬の飲み忘れや室温が上がりすぎていることなどをロボットが知らせてくれるコミュニケーション機能が加わり、独り暮らしの高齢者の孤独感解消や、見守る家族のスムーズな異変感知が可能となります。
「もっとよいものを作りたい」というエンジニアたちの思いによって、「いまイルモ」はさらなる発展を続けています。