コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの生活も企業のビジネスも大きく変わりました。いち早くテレワークにシフトしたソルクシーズグループも、お客様との良好な関係を維持するために、知恵を絞らなければならなくなりました。
激動の2020年を振り返るシリーズの第3回は、イー・アイ・ソルの平澤啓取締役社長にインタビューしました。
「テレワークを導入したのは3月です。どうすれば業務がうまくまわるかと1週間悩みました」
顧客の開発投資の中断・縮小、展示会の相次ぐ中止に伴う営業スタイルの見直し、社内ルールやコミュニケーション方法の変更など、考えなければならないことが一気に襲ってきました。
「リモートになったことによる売上の減少は、ほとんどありませんでした。仕事の進捗がわからなくなるのが最大の懸念だったのですが、マネージャーが頑張ってくれました。営業や開発業務の『見える化』が進んだのは収穫でしたね」
多くの企業の売上が減り、開発への投資を見直すという動きが増えたため、既に進めていたプロジェクトの縮小や中断が相次ぎました。
「顧客が次期の予算を決めるのは秋から年度末で、例年なら今が稼ぎ時なのですが、昨年よりは落ち着いてしまった印象です。それでも、春と比べると回復基調にあります。大変なのは、来年でしょうね」。
基本開発をメイン事業とする会社にとっては、厳しい状況が続きそうですが、今後の成長につながるいい話もいくつかあるとのこと。
「小さな会社なので、新卒と中途で社員を6人採用できたのは大きかったです」
新しい人材には、イー・アイ・ソルのソリューションが求められている領域に注力してもらうことになります。
「工場などの製造現場で働く人が減っています。熟練工が続々と定年を迎える一方で、若い人材を採用できなくなっているんですね。どの企業も生産を止めたくないので、ラインの自動化と監視のニーズが高まっています。
顕在化している案件をしっかり取りつつ、新たな領域を開拓できればと考えています」
平澤社長自身の変化について聞くと、「初めての経験ばかりの1年だった」というひとことが返ってきました。
「古い人間なので、お客様のところに何回も足を運ぶのが営業と信じてやってきたのですが、コロナ禍で一気に浸透したWeb営業を見ると、こんなスタイルが主流になっていくのかという驚きがあります」
売上や社員の生活だけでなく、健康に対する意識が高まったのも、大きな変化だそうです。
「今年の春までは、週5回会社に行くことに誰も疑問を感じなかったのに、コロナ禍によって働き方改革が急激に進んだ感があります。今後も、働き方の選択肢はより大きく変化するのではないかと思います」
Web会議の利便性を活用しつつも、「対面でしか得られないものもある」という平澤社長。営業改革、働き方改革、新たなニーズの掘り起こしと、2021年も経営者としてのチャレンジが続く1年になりそうです。