私は、ノーツの最大の強みは、アプリケーションを自由に作成できる点にあると考えています。
ノーツでは、簡単なアプリケーションならば数日から数週間で作成することも可能です。アクセス権限もドミノディレクトリ(公開アドレス帳)に従いしっかり統一的に管理できます。
この、アプリケーション開発プラットフォームとしての高い能力のおかげで、企業は業務改善を継続的に実施していくことができます。数百のアプリケーションを自社開発して運用しているケースも大変多いです。
他システムへの移行を考える場合、多くの場合、製品同士の機能比較をします。
メールやスケジュール、施設予約、掲示板など機能毎に○×や数値で比べます。しかし、単純な機能比較では、このアプリケーション開発プラットフォームとしての能力が全体の中の1項目となっていることがあります。
しかし「開発プラットフォーム」機能というのは、メール、カレンダーというひとつひとつと同列には比べられない機能です。この機能により、新しい複数の機能を生み出すことができるからです。
このように利点としてとらえることができるアプリケーションですが、それが“足かせ”と捉えられる場合があります。他システムへ移行する際に最大の問題になるのが、このノーツ上で開発されたアプリケーションなのです。
他のシステムでもアプリケーションを構築することはできますが、それまでノーツで利用してきたアプリケーションと同じものを構築するのが難しい部分も当然でてきます。
他システムへ移行する際に、「アプリケーションの作成を企業側でする」という条件で、移行費用が安く見積もられている場合があります。
いくら簡単にアプリケーションを構築できるとしても、最低限の仕様決め・開発・テストは必要です。この“見積もりに表れないコスト”は、企業側の負担として重くのしかかります。
ノーツを長年利用していた場合、多くのアプリケーションが存在します。調べたら数百、数千ものアプリケーションが存在していたというケースもあります。どのアプリケーションを移行するのか、または廃止するのかを決定するのは大変な作業です。
「今まで利用していたデータが、移行先のシステムでは使えなくなっても問題ありません」と言う利用者はいません。当然、利用者は移行先のシステムでも今までのデータが使え、同様の機能が利用できることを求めてきます。
移行先のシステムで、アプリケーションの構築作業を数百回繰り返すのはとても骨の折れる作業です。しかも苦労して移行しても、移行前と同等のアプリケーションを構築しただけでは、新しい価値は生み出されません。
私が今まで聞いたノーツから他システムへの移行の成功事例では、この移行対象のアプリケーションが少ないものが多いと感じます。
失敗事例としては、他システムに移行しきれずに結局ノーツ“も”残ってしまったケースもあります。こうなると複数のグループウェアを運用することになり、費用もかかる上、利用者にとってもシステム部門にとっても負担になり不幸になります。
「今後も自分たちで業務改善を継続的に実施していこう!」と考えているならば、ノーツを利用していく大きな理由になります。
次回からは、いよいよNotes のバージョンアップの話を始めます。
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