生産性の向上、マーケティング戦略の最適化、イノベーションの創出など、ビジネスの成功とますます切り離せなくなっているデータ活用。
膨大な量のデータをスピーディに活用できるようになった背景には、クラウドの急速な進化があります。Gartner社は2025年までに、企業の85%がクラウドファーストを採用すると予測しています。
一方で、日本は海外と比べて「マルチクラウドの成熟度が低い」と認識している企業が多く、国際競争力に課題があるのが現状です。
今回はクラウドを語るうえで欠かせない5つのキーワード「ハイブリッドクラウド」「エッジ・トゥ・クラウド」「サーバーレスコンピューティング」「SASE」「マルチクラウド」を軸に、クラウドの最新動向を【前編】【後編】の2回にわたり解説していきます。
ハイブリッドクラウド
最初に紹介する「ハイブリッドクラウド」は、複数のクラウド環境やサービスを柔軟に組みわせて使うモデルです。
従来のクラウド構築では、自社が運用・管理する「プライベートクラウド」か、プロバイダーが提供する「パブリッククラウド」か、どちらかを選択する必要がありました。
しかし両者には、それぞれ強みと弱みがあります。たとえばプライベートクラウドは、パブリッククラウドと比べて安全性が高い反面、運用のための人件費などコストが高くつきます。また柔軟性・迅速さの面でも、パブリッククラウドには劣ります。
ハイブリットクラウドなら、基本的なデータの管理・公開はパブリッククラウドで行い、顧客情報など機密性が高いデータ管理にプライベートクラウドを活用するなど、用途に応じたクラウド環境の分担が可能です。
プライベートクラウドの適用範囲を縮小することで、コストパフォーマンスの向上にも寄与。両者のメリットを活かした運用により、クラウド環境を最適化できます。
エッジ・トゥ・クラウド
次に取り上げる「エッジ・トゥ・クラウド」は、データの収集・保管・処理などの処理をクラウドからデータの生成元であるエッジ(デバイス)の間で効率的に分担し、迅速なデータ連携を実現するアプローチです。
これを可能にする技術が「エッジコンピューティング」。IoTデバイスやスマートセンサーなど、エンドユーザーから物理的に近いデバイスにインフラを配置することで、超高速処理と帯域幅の消費抑制を実現します。接続するネットワークが限定されることで、セキュアな情報処理も可能になります。
エッジ・トゥ・クラウドでは、このエッジコンピューティングをクラウドに接続し、データ処理を分散。高セキュリティでありながら、低価格かつ俊敏性の高いデータ活用を実現できます。
自動運転・工場・遠隔医療といった、エッジ側での迅速な情報処理が求められる領域はもちろん、ビジネスにおける意思決定の加速にも大きく貢献するソリューションです。
【前編】では「ハイブリッドクラウド」「エッジ・トゥ・クラウド」の2つを取り上げました。残る3つのキーワードは【後編】で引き続き解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。