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現場の取り組み

情シス野郎チラシの裏【79】 AIが紡ぐ世界線

現場の取り組み

【情シス野郎 チラシの裏】は、「情報処理安全確保支援士」資格を持つ情シス担当が、仕事や自らの体験を通して得た知識や技術を、技術面に詳しくない人でも読みやすいよう「チラシの裏」に書くかのごとく書き散らす!というシリーズです。

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あの時、違う選択をしていれば、未来は変わっていたのではないか?多くの人がそう考えたことがあると思う。振り返るまでもなく人生とは選択の連続であるが、異なる選択をした結果を確認することは不可能である。

ゲームであれば、セーブ機能を使えば過去をやり直すことができる。例えば「ドラクエ5」の結婚前にデータセーブしてビアンカと結婚し、クリア後にそこからやり直してフローラと結婚できる。

映画やドラマ、アニメでは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「JIN-仁-」、「君の名は。」など・・・、過去の行動や選択による未来の変化は、わりとありふれたテーマである。

このような、過去の異なる行動によって変化した別の未来、これは俗に「パラレルワールド」や「世界線」と呼ばれる。

今ではインターネット界隈で一般的となった「世界線」というフレーズは、それをたった一言で直感できる素晴らしい表現だと感じるが、もともと相対性理論の用語であり意味が全く異なるらしい。

少し調べてみると、物理学でいう世界線とは、時間と空間をひとまとめにした「時空」の中で、ある物体がたどる軌跡のことだそうだ。

自分が生まれてから今日までに「いつ・どこにいたか」を一本の線で描いたもの、とイメージすると分かりやすい。つまり、本来は「自分がたどってきた、たった一本の道」のことであり、「あり得たかもしれない別の道」という意味はなく、むしろ真逆に近い。

この言葉を「分岐した別の世界」の意味で広めたのが、アニメ「『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)」である。作中では、ほんの小さな行動の違いで世界線が切り替わり、その先の未来が大きく変わっていく。

小さな蝶の羽ばたきが遠くの竜巻につながる、いわゆる「バタフライ効果」を物語にしたような作品で、これをきっかけに「世界線」はオタク層に定着し、その後、Official髭男dismのヒット曲「Pretender」の歌詞に使われたことで一般層にも普及した。

ちなみに作中では小さな選択で未来は大きく変わるのに、結局は結末だけがなかなか変わらずに苦しむのだが、現実も案外そういうものなのかもしれない。

違う学校に進んでいても、違う会社に入っていても、結局は今と似たような人生に落ち着いていた、ということは十分あり得る。

ともあれ、架空の物語だからこそ描くことができた別の世界線。

しかし今のAI技術を用いれば、人間の悲願である過去のやり直しに近い体験ができるのではないだろうか?

例えば、自分の生い立ちや性格などの情報をAIにインプットして、過去の選択を変えてみることでその後自分がどうなっていたかを知ることが出来たら面白いのではないか?

もちろん、AIがタイムマシンになるわけではない。生成AIがやっているのは、「与えられた情報から、もっともらしい続きを組み立てる」ことであり、得られる結果はあくまでも「それらしい物語」だ。

とはいえ、実社会でもWhat-if分析のようなシミュレーションは日常的に行われているし、正解が検証できない点は同じである。

大事なのは当たっているかどうかより、比べてみて何に気づくか、だろう。

では、どの分岐点を変えてみるか。

進学先、就職先、結婚相手など大きな決断ほど変えてみたくなるが、むしろ「あの日飲み会に行かなかったら」程度の小さな選択が、思いもよらない変化を生む結果を見てみたい。

そのためにはとにかく細かく具体的に、生まれや育ち、出来事、家庭環境、教育環境、学業成績、友人関係、恋愛遍歴、など入れていく必要があるだろう。

さらに、副産物として、入力した情報からAIが自分をある程度表現可能になれば、これから先の選択についても世界線を見比べることが出来るようになるかもしれない。

迷ったときに「Aを選んだ自分」と「Bを選んだ自分」の物語を覗いてみる、という使い方はありふれているようだが、自分の分身が未来を見せてくれるなら過去のやり直しより実用的である。

とはいえ、どの選択をしたかより、その後どれだけの経験を積み重ねるかが、未来を大きく左右するのだろう。

ビアンカ、フローラ、デボラ、誰と結婚しても、その後レベルアップせずにクリアすることは出来ないのである。

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