2024年6月、株式会社eff(エフ)がソルクシーズのグループ企業となることが発表されました。2001年の創業から一貫して金融業界の市場系システムを手がけており、フロントシステム・ミドルシステムの企画から設計、開発、保守・運用までをトータルに請け負う会社です。
「創業当時は金融の市場部門のIT化が遅れており、ユーザーのニーズがわかる人間が揃えば強みになると思いました」と語るのは、今井宏志社長。立ち上げに関わった4人は、フロントのユーザーや、金融機関のIT部門に在籍していたエンジニアなど、全員金融業界出身でした。
以来23年、株式、債券、為替などを取り扱う市場部門のシステムと業務に精通したスペシャリストとして、中小規模のプロジェクトの上流工程をはじめとする多様な案件に携わってきました。リーマンショックで市況が厳しくなったときも、他の領域に手を伸ばさず、市場系専業で乗り越えてきたそうです。
そんなエフ社が、なぜソルクシーズの子会社になったのでしょうか。今井社長に、一連の経緯と今後の展開について聞いてみました。
「私たちは小規模の会社なので、中小のプロジェクトに特化し、エンドユーザーに近い立ち位置で仕事をするという強みを打ち出していました。ターゲットが明確だったこともあって、近年の業績は安定しており、開発ノウハウのある社員が揃っていました」
システムエンジニアの採用こそ苦戦していたものの、事業は順調だったという今井社長。そんななかで抱えていた唯一の大きな課題は、「さらなる成長につながる策が見出せない」ことでした。
「システム開発業界の企業には、技術者が増えないと売上が伸びないという構造があります。新卒の採用が厳しくなっていくなかで、このまま堅実に進んでいくより、変化を起こしたほうがいいと決断しました。ソルクシーズの魅力は、私たちとは異なる顧客層を持っていることでした」
証券業界の大手企業との取引が多いソルクシーズは、市場系システムに限らず、さまざまなプロジェクトを手がけています。エフ単体では取ることができなかった企業にも、「市場系」の機能という単位でサービス提供できる可能性が広がるのも、大きな魅力だったといいます。
「ソルクシーズグループは、証券会社、資産運用会社と顧客セグメントごとにカバーしています。対してエフは、市場部門といういわば横串の展開です。ソルクシーズの視点からいえば、市場部門の業務知識と開発ノウハウがある私たちが加わることによって、今まで取れなかった案件にアプローチできるというメリットがあるのではないかと思います。コアネクストなど、他のグループ企業と連携できる可能性もあります」
ひとつのプロジェクトのなかで、組織と業務がわかるエフがニーズのヒアリングやコンサルティングを行い、幅広い領域の技術があるソルクシーズが開発を担うといった提案もできるようになります。
当面の目標は、今後の連携の指針になる実績を作ることです。「ソルクシーズとエフがお互いの得意分野で評価されるような仕事ができればいいですね」という今井社長。それぞれの強みを活かした協業に加えて、苦手分野をカバーし合う相互補完も期待できます。
今井社長のインタビューの後編では、エフ社の強みを活かしたサービスや、金融業界に関する知見を武器として活躍するエンジニアの人物像と採用の現状について紹介します。興味がある方は、そちらもぜひご一読ください。