ひと昔前までは「仕事ができる人」の文章スキルといえば、ビジネスメールを上手に書けることでした。
しかし最近は、リアルに近い円滑なやり取りができるチャットツールが普及したことで、求められる文章のスキルが変化しています。
短いメッセージを誤解なく、さらに感じよく伝えるテキスト表現力の持ち主が、令和における「仕事ができる人」になりつつあります。
「簡潔なコミュニケーション」と「伝わりやすさ・正確さ」はトレードオフの関係になりがちです。
短くした結果、細部が不明瞭になって、確認・質問のためにチャットのラリーが増えてしまっては本末転倒です。
さらに、短い言葉でやり取りをするチャットは、メール以上に発信者の感情や本意が伝わりにくいのも難点です。
ひとつ間違えると、相手にぶしつけな印象を与えてしまうかもしれません。
とはいえ、「どのように伝えるか」を考えすぎても、チャットならではのスピード感と効率は損なわれてしまいます。
このように一筋縄ではいかないチャットコミュニケーションですが、テキスト表現力を高めるためには、どんなところに気をつけてメッセージを書けばよいのでしょうか。
まず、メッセージを短くまとめるコツとして、伝えたいことに優先順位をつけて必要最低限に絞ることが挙げられるでしょう。
慣れないうちは箇条書きで伝えたいことを書き出してから、優先順位で並び替えをしてみるといいのではないでしょうか。
コミュニケーションを効率よくするためには、ラリーをいかに少なくするかも大事です。
相手からの質問には複数の解釈ができるような回答はせず、「はい・いいえ」で答えられる質問には明快に答えます。
それ以外でも、最初に結論を伝えるよう心がけ、語尾はぼかさずに断定の表現を使うようにすると誤解が生じにくくなります。
相手がどんなことを疑問に感じるか、どのような質問が返ってきそうか、補足情報は必要かどうかを想像して、メッセージを付け加えるのもポイントです。
その際は、いわゆる5W1Hを念頭に置いてみると、足りない情報が見つけやすくなります。
さらに「ご回答をお願いします」「問題点があればご指摘ください」「確認したらスタンプを押してください」「返信不要です」など、相手に求める具体的なアクションを明示すると、ムダなやり取りが発生しづらくなります。
社内でのやり取りを効率化するなら、「定型的な挨拶は不要」「承認はスタンプでOK」など、運用ルールをつくっておくのもおすすめです。
加えて、受け手ができるだけ少ない労力で内容を把握できるよう、視認性を高めるようにしましょう。
「文章の冒頭に議題を明示」「前出の文章を引用して論点を明確化」「箇条書きをうまく活用」「重要な箇所は太字・【】・囲みなどで強調」といった工夫をすれば、パッと見ただけで理解できる文章になります。
メッセージが無味乾燥になりがちなチャットコミュニケーションでは、いかに感情を伝えるかも重要なポイントです。
コツは、カジュアルな表現を加えること。たとえば「!」マークや、感嘆詞・絵文字・スタンプなどを使うと相手に与える印象が柔らかくなります。
もちろん、ストレートに感謝の気持ちや現在の感情を言葉にするのも効果的です。
一方、相手からの依頼を断らなくてはならないときなどは、メール同様に「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などクッションになる言葉を添えるようにしましょう。
以上、テキスト表現力を高めるためのポイントについて解説しました。
ぜひ参考にしていただいて、短い言葉で適切にメッセージを伝える文章力を身につけてください。返信は不要です。