今回で3回めとなる「システムエンジニア・現場的適性チェック」。第1回で紹介した「コミュニケーションを取る意欲がない人は難しい」「黙々と作業をこなす仕事ではない」といった現場の声に対して、他の現役システムエンジニアから「ちょっと待った!」が入りました。
まずは、コミュニケーション力に関する意見を聞いてみましょう。
「私は今でこそいろんな人と普通にやりとりしていますが、仕事を始める前は話すのが下手でした。“コミュニケーションが苦手な人はシステムエンジニアに向いてない”ではなく、“システムエンジニアになったらコミュニケーション力を高めよう”という順番でもいいのでは?」
「学生のみなさんには、今持っている物差しで自分のコミュニケーション力を評価しないでほしい。仕事と仲間内の会話は全然違うので」
なるほど。意見の主旨は「コミュニケーション力不足=適性なし、と反射的に考えないでほしい」ということですね。
仕事におけるコミュニケーション力は、経験を積みながら高められるもの。「向いている・向いていない」を気にし過ぎなくてもよいのでは、という先輩SEからの意見です。
元の声と共通しているのは、「意欲」は大事ということでしょう。学生の頃、話すのが得意 といわれるタイプは「積極的な人」「自分の意見を持っている人」だったりしますが、仕事におけるコミュニケーションは、聞き上手・くみ取り上手なひとが評価されることが多いのも確かです。
仕事がうまくいくために必要なのは、適性ばかりではありません。話すのが得意という自己認知はないけれど、仕事に対する熱意や責任感を大事にしているシステムエンジニアからの愛情あふれる貴重なご意見でした。ありがとうございます。
また、「黙々と作業をこなす仕事ではない」という声についても、こんな指摘がありました。
「プランニングや開発ばかりがシステムエンジニアの仕事ではなく運用作業を黙々と続けることが大事な仕事もあります。お客様のシステムを安全に稼働させるためにコツコツがんばる縁の下の力持ちのような役割もあることは知ってほしいですね」
確かにそうですね。お客様が見ているのは、成果ばかりではありません。
どれだけ自分たちの会社のことを考えてくれているか、トラブルがあったときにどんな対応をしてくれるのか、システムエンジニアのプロフェッショナリティや姿勢をより重視する会社や組織もたくさんあります。
システムエンジニアに最も向いていないのは、「適性ばかりを気にして『自分は向いてないかも…』と簡単に諦めてしまう人」なのかもしれません。多少適性がなくても熱意、学習意欲、取り組み姿勢のよさでカバーして活躍している人がいるのは、IT業界だけではないですけどね。