システムエンジニアをめざしている学生のみなさん、あるいはシステムエンジニアとしてキャリアアップしたい若手のみなさん、「SEの必須スキルは?」と問われたら、どんなことを想像しますか?
多くの方が、「プログラミングに関する技術」「システム設計のスキル、ノウハウ」「ハードウェア、ソフトウェア、DBなどの知識」を思い浮かべるのではないでしょうか。はい、正解です。ただし、これらだけでは満点とはいえません。
専門的な知識・スキルと同じぐらい必要な能力があるのです。ひとつは「コミュニケーション能力」、できるだけ早期に身につけたいのが「マネジメント力」「英語力」です。
「コミュニケーション能力」については、いくつかに分解して捉えたほうがいいでしょう。
重要なのは、顧客のニーズを引き出す「ヒアリング力」、実現したいプランを関係者に理解してもらうための「表現力・プレゼンテーション力」、顧客の要望と自社の事情をすり合わせて両者が納得できる答えを導き出す「交渉力」です。
「ヒアリング力」については、相手が何を求めているのかを聞くだけでは足りません。いわれたとおりのものを創るだけでは、いいサービス、いいSEとはいわれないでしょう。
「なぜ、それを求めているのか」「システムを開発・改修することで、どうなりたいのか」「必ず実現したいこと、できればほしいことはそれぞれ何なのか」…。オーダーの元にある背景・状況を把握し、ニーズを整理できなければ、限られた予算・時間のなかで最適な企画を提案できません。
「表現力・プレゼンテーション力」について重要なのは、「伝える相手を理解すること」です。決裁者か現場の担当者か、専門知識があるのか、何を知りたがっているのかなど、立場や能力、ニーズによって伝え方は変わります。
「交渉力」については、駆け引き上手になれといっているのではありません。顧客に納得してもらうためには何が必要なのか、諦めてもらえるのはどこなのかを把握し、自社の必須条件と照らし合わせて、いい落としどころを設定できることが最も大事なのです。
プロジェクトリーダーとして、全体を管理・推進することを求められるようになると、「マネジメント力」は欠かせません。
それぞれの業務にどのくらいの工数がかかるのか、実制作を行うプログラマーなど関係者に何を要望するのか、遅延やトラブルなどのリスクをどのくらい読み込むのか。適切な人員配置、スケジュール、業務プロセスを設計したうえで、全体をスムーズに動かせるスキルが求められます。
ときにはチーム全体のモチベーションを上げたり、困っているスタッフを個別にフォローしたりすることも必要です。「マネジメント力」を身につけるというと、「場数を積まないと…」といった話になりがちですが、的確に伝わる設計書を作成する力や、業務設計力などは、日々の地道な取り組みと見直し、によって高めることも可能です。
最後に「英語力」ですが、多くのベテランSEが、「最新技術に関するニュースやレポート、マニュアルは海外から発信されることが多いので、英語ができたほうがよい」と声を揃えています。現在の部署に、海外とやりとりする業務がなかったとしても、先々のキャリアアップを見据えて英語はマスターしておいたほうがよさそうです。
こうして見ると、システムエンジニアには、いわゆるITスキル以外にもさまざまな知識・スキルが必要なのがよくわかります。
これからSEをめざす方、さらにレベルを上げたい方は、何をすればどんな力が得られるのかを意識しながら、日々の業務や情報収集するとよいでしょう。「文系だから」「未経験だから」と諦めることはありません。